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学校におけるリスクマネジメントと危機管理マニュアル作成の重要性

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特集 教員の知恵袋

 近年、不審者による侵入や自然災害、交通事故など学校内外ではさまざまな問題が起こっています。子どもたちがトラブルや危険、事故に巻き込まれない安全な生活を送るためにはリスクマネジメントが重要です。

 平成20年6月には、学校保健安全法により各学校での危機管理マニュアルの作成と学校安全計画策定が義務付けられました。ここでは学校におけるリスクマネジメントの目的、危機管理マニュアル作りのポイントについて解説します。

学校における危機管理のねらい

 学校における危機管理の目的は、児童や教員の生命や心身等の安全を確保することです。具体的には事故やトラブル、自然災害などによる危険を未然に防ぎ、被害を最小限に抑えること、そして再発防止に努めることが求められています。

 危機管理のプロセスは、事前の危機管理・発生時の危機管理・事後の危機管理と大きく3つに分けられ、それらを2つに分けたのが「リスクマネジメント」と「クライシスマネジメント」です。

危険を未然に防ぐリスクマネジメント(事前の危機管理)

 学校におけるリスクマネジメントとは、校内で起こりうる危険を予測して未然に防いだり、被害を最小限に抑えるために環境整備や体制整備を整えることです。

 たとえば、学校で行うリスクマネジメントには施設の安全点検や避難訓練、教職員研修、安全教育などが含まれます。

 また、他校の事例を参考にしたり、保護者や地域住民などの関係者と連携をとったり、分析することもリスクマネジメントの一環です。学校全体が目的を共有し、組織的に取り込むことで子どもたちの安全を確保します。

トラブル発生後に行うクライシスマネジメント(発生時の危機管理+事後の危機管理)

 環境整備や施設の安全点検などを行ったとしても、トラブルが起きてしまうこともあります。そのトラブルや後に行う対応がクライシスマネジメントです。

 クライシスマネジメントの具体的な対応として、保護者や関係者への連絡、再発防止策や心のケアに必要な対応、リスクマネジメントの見直しなどがあります。教員は事件後に行う基本的な対応を理解し、身につけておかなければなりません。地域の特性や児童の実態を把握して迅速かつ適切に対応します。

組織的な取組の指針となる危機管理マニュアル

 児童や教員の安全を守り、事故や事件に備えるには組織的な取組が欠かせません。そこで、学校安全に向けた組織的取組の推進として義務化されたのが危機管理マニュアルの作成です。

 危機管理マニュアルは、学校の管理下で危険が発生した緊急時に教員が迅速かつ適切な対応を図ることが目的に作られています。重要なのはマニュアルに沿って学校全体で目標や情報を共有し、学校安全に取り組むことです。

危機管理マニュアル作成のポイント

 マニュアルの作成にあたり、文部科学省から「学校の危機管理マニュアル作成の手引」が配布されています。手引に従いつつ、各学校の実情に応じて考えられる危険を予測し、実際に事件や災害が起こった場合の対処法や児童生徒の安全確保のためにできることなどを検討します。

 マニュアルは、トラブルや危機の発生前、発生時、発生後と三段階のプロセスを想定して作成します。その際、教員の役割分担を明確にし、わかりやすく見やすいマニュアルに仕上げることも忘れてはいけません。

 マニュアル作成やリスクマネジメントは、学校だけではなく、保護者や地域住民、関係機関と連携し地域全体で安全確保を行うことが重要です。

PDCAサイクルを回して行うマニュアルの見直しと改善

 危機管理マニュアルは作成して完了するものではなく、活用してこそ意味があるものです。作成後は学校安全に関する計画、実行、評価、改善とPDCAサイクルを繰り返し、より良いマニュアルへ改善を目指します。

 マニュアル作成後は実際に訓練を行い、課題を明確化、課題解決のための対策を行うことや定期的なマニュアルの見直し・更新を行うことも肝要です。

 人事異動による分担・組織の変更はないか、施設・設備や通学路、児童生徒等の状況に変化はないか、他校の事例や社会情勢の変化と照らし合わせ、自校に不足している項目はないかなどに注目し、変更があればその都度マニュアルを更新します。

リスクマネジメントによってその後の対応が変わっていく

 児童や教員の心身の安全を確保するために、あらゆる危険をいかに予測・予知し、未然に防ぐための環境・体制整備を行えるかが学校におけるリスクマネジメントにおいて何よりも重要です。

 校内にとどまらず、地域や関係各所との情報共有や連携による取組を行うことにより、リスクマネジメントや安全教育の充実、ひいては児童生徒の安全確保につながります。

 日々何が起こるか予測できない学校生活において、万が一危険が起こってしまった場合でも、被害を最小限に抑えられるよう、全職員が危機管理マニュアルを理解し、対処法を身につけておくことが求められているといえるでしょう。

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