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学校3・0×SDGs 時代を生き抜く教育への挑戦

14面記事

書評

諏訪 哲郎・小堂 十・丸茂 哲雄・多田 孝志 編著
持続可能な社会へ校長2人の実践紹介

 この書名を見て不思議さを感じる方は評者だけではないだろう。しかし、じっくりと読んでいくと、これからの学校教育が進む方向が豊富な実践例から見えてくる。
 まず「学校3・0」とは。諏訪氏は「国民国家型教育システム」(学校教育1・0)が根強く残り、今日の学校教育の基調となっている「資質・能力重視型教育システム」(同2・0)は競争原理が根底にあり、「持続可能社会型教育システム」(同3・0)への転換が必要と強調し、その動きが始まっていると述べている。評者が学校現場を離れて既に9年になるので、残念ながら最後の「持続可能社会型」の教育実践をすることができなかった。
 しかし、本書のいわば各論に当たる2人の校長による「SDGs」(持続可能な開発目標)の取り組みを読むと、確かに「持続可能社会型」を感じさせる教育活動が展開されていることが読み取れる。特にPart3の東京都杉並区立西田小学校の報告には校長のリーダーシップが発揮され、職員や保護者を巻き込む、見事な学校づくりが展開される。
 SDGsが目指すこれからの新しい教育の方向が力強く提案されている。また西田小の前校長の小堂氏の論の展開は、学校の研修の在り方さえ変えてしまうような面白さである。小堂氏の書き方からヒントを得て、読みたくなるような教育実践研究の文章を書けるようになりたいものである。
(2200円 キーステージ21)
(庭野 三省・新潟県十日町市教育委員会教育委員)

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