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学校事務クロニクル 事務職員の過去・現在・未来

18面記事

書評

中村 文夫 著
歴史たどり未来の職を切り拓く

 「現在の問題意識からとらえた、学校事務職員の歴史を振り返り、困難な未来に足を踏み出す後押しができればうれしい」と、著者は率直に述べる。ともすれば過去から現在へとさかのぼる編年史(クロニクル)は退屈な読み物になりがちだが、本書は趣を異にする。
 明治時代の学校事務職員前史から始まり、終戦後からの出発、1960(昭和35)年からの職の確立と転換、2000年以降現在に至る学校事務職員の変質への歩みが「現在の問題意識」によって照射され、時々の情勢、立ち位置を知ることで、読み手がそれぞれの時代から刺激を受けるからである。
 例えば、義務教育費国庫負担制度の見直し論議で学校栄養職員が「栄養教諭」に転じ、同じ除外対象だった「事務職員」のその後の軌跡をどう受け止めるか。今は「チーム学校」の名の下に、学校事務職員への期待は高まるが、著者は「ピラミッド型管理運営組織」に組み込まれたと解し、改善なき場合の暗い未来を予見する。
 最終章では政治、行政の変化に翻弄されてきた学校事務職員が、変容する学校に依拠するのではなく、まちづくりとの一体化や教育福祉、教育無償に向けた学校財政、総務事務縮小を実現する「21世紀型学校」創造の担い手となることを願う。著者の提案を羅針盤とするか、レクイエムと聞くか、学校事務職員の今後の選択が歴史の分かれ道になるかもしれない。
(3080円 学事出版)
(矢)

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