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読本 達人に学ぶ子ども理解力

16面記事

書評

千葉市教育センター 監修
教育相談の達人が極意を伝授

 教師として何が一番大切であるか。それは目の前の子どもを理解することである。「子どものありようや状況を様々な視点から捉え、必要なはたらきかけをすること」(本書より)である。しかし、子どもの抱える問題は深刻化し、極めて多岐にわたっているため、教師の苦労は尽きない。とりわけ教育相談は、ケースによってその対応が異なるため、一般化できず、教師力がものをいう。そこで、暗黙知・実践知を兼ね備えた教育相談の達人たちの知見を集約した本書が注目に値する。
 本書は二部構成。第一部は、マイノリティーの子どもなど、今日的な課題七つを取り上げ、そのテーマに精通した達人により、「どう理解するか」の視点を要とし、その関わりについてのポイントをアドバイスしている。第二部は、10人の達人より、実践事例を通して、子ども理解の視点と関わった具体的なエピソードを紹介し、読者が「自分だったらどうするか」と自身との対話をもって応用できるように構成されている。
 千葉市教育センターはこれまで、「達人に学ぶ授業力」「達人に学ぶ学級経営力」と良書を刊行してきた。本書はこの達人シリーズの第3弾である。日々、多様な生徒指導的な問題を抱えた子どもとの関わりの際、どのように見立て、必要な関わりを持てばいいのか。教育相談の達人が近くにいてくれたらなぁという願いがかなう「教育相談の相談書」である。
(1100円 宮坂印刷)
(青木 一 信州大学学術研究院准教授)

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