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学びの「エンゲージメント」主体的に学習に取り組む態度の評価と育て方

14面記事

書評

櫻井 茂男 著
調査項目、発達段階ごとの留意点を提示

 「主体的に学習に取り組む態度」をどう捉え、どう測定・評価するか。著者が提起する「自ら学ぶ意欲のプロセスモデル」に、「学びのエンゲージメント」(「積極的に学習に取り組む態度」)という新しい概念を対応、拡張させて解説した。提案の背景には心理学の知見がある。
 自ら学ぶ意欲の発現には「安心して学べる環境」、知識、褒め・叱ることなどの「情報」、学習を自己調整できる「メタ認知」が必要。その上で、授業の流れに沿えば、教師が子どもの興味・関心(知的好奇心)を刺激し、学ぶ意欲を喚起(動機)。学ぶための手段や方法(見通し)を持って学習し、結果を「振り返り」ながら、学ぶことの「おもしろさ、楽しさ」、できるという「有能感」、目標に近付く「自己有用感」「充実感」を得る。さらに「新たな動機」を見つけ学ぶ意欲が高まっていくと、本書では見立てる。
 測定と評価には、学びのエンゲージメントを構成する感情的(興味・関心、楽しさ)、認知的(目的・目標、自己調整)、行動的(努力、粘り強さ)、社会的(協力、助け合い)―各エンゲージメントや自己効力感の五つの要素から、九つのポイント項目例を導き、すぐに使える簡略的な質問用紙なども提示した。
 五つの要素で示す項目例は、自ら学ぶ意欲を育てているかを点検する目安としても使える。この他、発達段階ごとに留意したい点も掲げてあり、参考にしたい。
(1980円 図書文化社)
(矢)

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