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夏休み短縮に伴う給食室などの酷暑対策に千葉市が全市立学校にスポットクーラーを配備

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災害時は避難所となる体育館での活用も
 千葉市では新型コロナウイルス感染症の影響で、学校の夏休み期間が短縮することに伴い、この期間の給食室や給食受取室が高温多湿化し、過酷な労働環境になることを防ぐため、全市立学校にスポットクーラーを配備した。
 総務局防災対策課の大久保氏は「もともとは昨年の令和元年房総半島台風による強風が原因で、市内でも停電や避難所運営が長期化したところが多くあり、暑さ対策が課題になったのがきっかけでした。そこで今年度、スポットクーラーを避難所2カ所へ試験的に導入し、検証する予定でしたが、新型コロナウイルス感染症の影響で、酷暑期間にも給食を提供することが必要になったため、調理員の労働環境の改善に向けて給食室などに配備する計画に変更しました」と経緯を語る。
 その上で、このスポットクーラーは、災害時には避難所となる体育館などに移動して、酷暑対策として活用することを想定しているという。

7月中旬に174校、348台を配備
 スポットクーラーの魅力は、大規模な工事が必要な空調設備と違って据付工事が不要なため、コストが大幅に抑えられることにある。そのため、急務となっている夏場の熱中症対策として体育館に配備する学校も増えている。「そうした点でも、今年の夏までに対処するにはスポットクーラーを配備するのが現実的でした」と指摘する。しかも、それぞれ環境が異なる給食室の現場にとっても、屋内どこでも設置できるのは使い勝手がいいはずだ。
 そんなスポットクーラーには、ナカトミ製が採用された。「冷房能力や自動首振り機能に加え、キャスター付きでどこでも簡単に移動できるなど、入札条件をクリアしていたからです」と理由を説明する。本製品は、ほかにも重量約40kgと業務用としてはコンパクト。冷風ダクトが200度回転(手動)できて好みの場所に合わせて使用できるほか、単層100Vで電源の心配が要らない、サーマルプロテクター(復帰式過熱保護装置)内蔵などの長所を備えている。
 7月中旬には全市立学校174校(小110校、中55校、特別支援学校3校、高等学校2校、学校跡地校4校)に、各校あたり2台の合計348台を配備し、給食室で従事する調理員などの健康を守るために活用した。ちなみに、同市の小学校は自校式給食になっており、中学校と高等特別支援学校は3つの給食センターで調理したものを提供する「給食センター方式」を採用している。

コロナ禍の避難所のあり方も見直しへ
 市では災害に強いまちづくりを掲げており、電力・通信の強靭化、土砂災害・冠水等対策の強化、災害時の安全・安心の確保、民間企業等との連携拡大の5つを柱に災害対策に力を入れている。今回のスポットクーラーもその1つであり、停電時に備えて公民館・市立学校へ太陽光発電設備・蓄電池の整備を進めているという。
 その中で、コロナの「3密」回避として避難所となる体育館の受け入れ人数も制限されることについても、「学校の特別教室・普通教室や公民館といった、空調設備が整っている場所で避難者を受け入れることを考えています」と語るなど、新たな対策にも積極的に動き始めている。

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