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小学生の暴力行為深刻化 発生件数が2年連続で中学生上回る

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文科省調査

 文科省は22日、小・中学生、高校生などの生徒指導上の課題について令和元年度の調査結果を公表した。児童・生徒の暴力行為件数、不登校の児童・生徒の割合、いじめ認知件数は前年度を上回り、増加傾向が続いている。暴力行為件数は2年続けて、小学校が中学校を上回った。いじめ認知件数の都道府県間格差は縮まった。件数が少なかった自治体で増えていた。

 この調査は、国公私立の小・中学校、高校、特別支援学校、義務教育学校、中等教育学校を対象とした。義務教育学校、中等教育学校はそれぞれ前期課程、後期課程に分け、相当する学校種に含めて集計している。
 児童・生徒による暴力行為は件数、発生割合ともに、平成27年度調査から増加を続けている。中学校、高校は減少・横ばいの傾向にあるのに対し、小学校は平成18年度に現在の調査方法になってから、ほぼ一貫して増えている。
 小学校の発生件数は平成18年度が3803件だったのに対し、令和元年度は4万3614件と11・5倍に増えた。平成30年度と比べても1・19倍に増えている。
 この間、平成18年度比で中学校は93・3%、高校は65・0%へと減った。平成30年度の調査で小学校と中学校の件数が入れ替わって以来、小学校が中学校を上回る結果が続いている。高校は小・中学校よりもはるかに少ない。
 小学校での発生件数は平成27年度から急上昇を続けている。対前年度比で1・49倍、1・34倍、1・24倍、1・29倍となっている。
 令和元年度の児童・生徒千人当たりの発生件数は小学校が6・8件、中学校が8・8件、高校が2・0件。まだ、小学校は中学校より少ないが、その差は縮小傾向にある。
 平成18年度は小学校が0・5件、中学校が8・5件と17・0倍の差があったが、令和元年度は1・29倍へと縮小している。
 小学生が起こした暴力行為のうち、73・6%は子ども同士の間で起きている。対教師暴力は14・9%、器物損壊は10・7%という内訳となった。
 学年別の増減は小学校の全学年で増加した一方、中学校、高校の全学年で減少した。
 調査に当たっては、被害者のけがの有無、病院による診断書の有無、警察への被害届提出の有無は問わずに、報告してもらった。

 千人当たりの発生件数に関する都道府県別集計結果では、最多が沖縄の12・7件で、岐阜(12・6件)、神奈川(12・2件)が続いている。最少は愛媛の0・6件で、福井(0・7件)、山形(0・8件)がそれに次ぐ水準だった。
 前年度は、青森、島根の13・6件、神奈川県の11・5件が多かった。青森、島根の発生割合は減った。前年度の最少は愛媛の0・6件で、鹿児島の0・9件、福井の1・0件が続いた。愛媛は横ばい、鹿児島は増加、福井は減少となった。

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