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小学校国語科 どの子も必ず書けるようになる「書くこと」の授業づくり

14面記事

書評

長谷川 祥子 編著
小川 智勢子・西山 悦子 著
練習ドリルなど実践資料が充実

 書くことが苦手な子どもは少なくない。平成31年度全国学力・学習状況調査結果(国語)でも「目的や意図に応じて、自分の考えの理由を明確にし、まとめて書くこと」に課題が見られ、指導の改善が求められている。
 本書は、日本の子どもたちの課題である「書くこと」に焦点を当て、どの子も必ず書けることを目指した実践書である。実践した学校の90%の児童が「小論文の書き方が分かる」とアンケート調査で回答。驚嘆に値する。一体どのような指導が成果に結び付いたのか。その秘密が凝縮されたのが本書である。
 編著者は、論理的思考力・表現力を系統的に育成する重要性を訴える。その理論を実践した東京・埼玉の小学校2校の実践を惜しみなく紹介。「中学校国語科 クラス全員が必ず書けるようになる指導技術」では東京・北海道の学校の取り組みを紹介。小中一貫して論理的に記述できる力を育成する上で、校種関係なく参考にしたい良書である。どちらも実践資料が充実し、特筆すべきは「論理の練習ドリル」が掲載されていること。「図・表・グラフの読み方」「具体と抽象」といった項が取り上げられ、論理的な文章を書く力を着実に育むドリルだ。帯学習で取り組むことも可能である。
 論理的な表現力を身に付けることは、子どもたちの「生きる力」を育むこと。将来必ず役立つ力であることは間違いない。
(2596円(小学校)2420円(中学校) 明治図書出版)
(藤本 鈴香・京都市総合教育センター指導室研修主事)

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