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コロナ禍の影響で1人親世帯3割に高校中退の可能性 給付金制度の周知も課題

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セーブ・ザ・チルドレン調査

 新型コロナウイルスの影響により、高校就学費の支払いに影響があるとした都内の1人親世帯のうち、3割以上が、高校就学を続けられなくなる可能性があると考えていることが11月30日、公益社団法人のセーブ・ザ・チルドレン・ジャパンによる調査で分かった。8月から11月にかけて調べたところ、保護者の約半数がパートやアルバイトとして就労。約8割の世帯で収入が減り、2割弱は無収入となった。
 同法人は寄付金を募るなどして、都内の1人親世帯対象の給付金事業をこの秋に実施。コロナ禍により、高校就学に関する費用が払えなかった、あるいは、払えない可能性があるなどの条件を満たした世帯が対象。支給額は1人当たり3万円。支給した355世帯に対して尋ねた結果をまとめた。
 保護者の就業状況は、「パート・アルバイト」が48・2%を占め、以下、「契約・派遣」(14・1%)、「求職中」(12・7%)、「自営」(10・7%)、「正規」(9・3%)、「無職」(8・7%)と続いた。
 保護者の性別は女性が97・5%だった。子どもが在籍している高校は国公立が54・5%だった。
 「新型コロナウイルスによる経済的な理由により、高校就学を続けられない可能性はあるか」との問いでは、「はい」が31・8%、「いいえ」が65・9%だった。
 具体的な状況を記してもらうと、「元夫が飲食店勤務なので、コロナの影響で所得が激減。養育費が振り込まれなくなり、高校に通い続けられるか不安」といった声があった。
 コロナ禍の影響によって、収入にどのような変化があったか尋ねた結果では、18・3%が「ゼロになった」と回答。「変化なし」は18・6%で、8割以上の世帯で収入が減っている。
 高校の授業料は国と都の制度で国公私立ともに無償化を進めてきたが、この調査では、十分に活用できていないことが分かった。
 コロナ禍の影響で、支払いが困難になった費用を尋ねたところ、授業料は13・0%が「支払えなかったことがある」、48・2%が「これまでにはないが、今後、支払えなくなる可能性がある」と答えている。
 また、同法人からの給付金の使い道は40・0%の世帯が授業料を挙げた。
 国による授業料無償化措置を受けるためには、申請が必要。申請していなかったり、申請が遅れたりすると、授業料を支払わなければならなくなる。
 都では併せて、授業料以外の費用を軽減するために、「高校生等奨学給付金」を設けている。同法人からの給付金を受給した世帯は、この給付金も利用できる可能性があるが、利用している世帯が41・1%、申請中・申請予定が37・5%となり、残る約2割は、「利用したことがない」「わからない」と答えた。制度の周知が課題となっている。
 同法人は、このような集計結果を踏まえて、政府・自治体が高校生の就学に関する実態を調べ、就学を続けられるよう現金を給付することが必要としている。

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