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若手教師のための一斉授業入門

14面記事

書評

多賀 一郎 著
指導案例示し具体的に解説

 書名が示す通り、本書は若手教師のためにという点と、一斉授業の意義・意味についての理解を深めるという二つが「売り」だ。読み進めながら若い頃の自分と重ね合わせ、思わずうなずいたり、苦い経験を思い出して苦笑したりした。それだけ、臨場感と現実感のある内容といえるだろう。
 まずは、若手教師のために、という点に触れていこう。本書にきらびやかな飾りはない。「ズバリ」と言い切る。若手読者諸氏は、思い当たることばかりだろう。
 そして、「そうか、こうすれば良かったのか」「言葉掛けには注意が必要だ」等、明日の教壇が楽しみになるだろう。主に、第1章・5章を見れば、それらが具体的に会話体で書かれている。
 次に、一斉授業についてである。著者は、子どもたちの深い思考のため、基礎学力の底上げのため、一斉授業を重視している。若手教師の授業力が問われる場面であるからだ。そのポイントが第2章・3章で語られる。ここでは、授業場面でのやりとりを事例に挙げるだけでなく、指導案例まで提示されている。理解が進むだろう。
 わずか100ページ足らず、ゆったりした字間や項立ての工夫などによって読了にさほどの時間はかからない。その割に得るものは大きい。授業改善・指導力向上を考える若手に格好の図書だ。
(1760円 黎明書房)
(八木 雅之・元公立小学校校長)

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