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オンラインで理想の学びを追求し、未来の教育を創る

10面記事

企画特集

これまでの『型』にはまらない未来人のための高校が来年4月開校!
学校法人ワオ未来学園 ワオ高等学校

自ら学び、自ら考え、自ら判断するために
〔教養〕×〔スキル〕×〔好き〕=〔キミだけの未来〕

 「学びに自由を!」をテーマに、ニューノーマルな学びを可能にするオンライン高校「学校法人ワオ未来学園 ワオ高等学校(広域通信制)」が2021年4月に開校する。母体となるのは学習塾を40年以上にわたり運営し、現在では47都道府県に教室を展開している株式会社ワオ・コーポレーションで、これまで培ったノウハウを結集したオンライン授業によって、次世代の社会に対応した最新の学びを提供する。そこで、山本潮校長に設立した目的や同校ならではの魅力について聞いた。


 山本 潮 ワオ高等学校校長
 福岡県出身。(株)ワオ・コーポレーション取締役。20年以上にわたり能開センターにて講師職を務め、小・中・高生の受験指導に携わる。その後岡山県本部責任者、西日本担当役員等を歴任。現在は、新規事業担当役員として、ワオ高等学校設立事業に従事。ワオ高等学校校長に就任予定。

実社会で必要な教養と思考力を身につける

 ―AIの進化や産業構造の急速な変化に伴い、将来を担う子どもには学び方も働き方も生き方もさまざまな選択肢が求められる時代を迎えています。その中で、1976年の創立以来、「能開センター」や「個別指導Axis」などの学習塾を全国に展開してきた会社が、今、通信制のオンライン高校を開校する理由は。

 山本 もともと当社は「日本の教育を変える」という大きなテーマで出発しており、「自ら学び、自らの頭で考え、自ら行動できる人物の育成」を教育理念に掲げてきました。そのため、学習塾としては珍しいホームルームや合宿教育に力を入れるなど、トータルな人間力を鍛える教育を実践してきた経緯があります。こうした中、転換期になったのがIoT社会の進展です。デジタル技術を使うことによって私たちが目指していた教育、すなわち、古いルールや考え方にしばられずに自分で考えて行動できる人材、どんなに世の中が変わっても社会で活躍し続ける人材の育成が実現できるのではないかと考えました。
 今までの教育はクラス全員に対して一斉に何かを教えることによって成り立っていましたが、これからは子どもが主体となる教育にシフトしていかなければなりません。そのためにはアクティブ・ラーニングの視点に立った指導が必要になりますが、それを集合形式で行う場合とオンラインを通じて教室や地域の枠を超えて行う場合とでは大きな違いがあると思います。より広い世界と結ばれて自分で学びを深めることができる、時間や場所の制限がなく学びに自由を与える上でも、今やオンラインは教育ツールとして必要不可欠になっているのではないでしょうか。

答えのない時代の基軸を「教養探究」で

 ―ワオ高等学校は、大学のように前・後期制で生徒の興味や目的に合わせて受講でき、在籍期間3年以上・74単位修得などの要件を満たせば高校卒業の資格を得られます。大きな特色は、年2回岡山で行われるスクーリング(面接授業)以外はすべての授業をオンラインで行うことですが、従来の高校とは一味違う特別な教科「教養探究」を必修科目として設けたねらいは。

 山本 ワオ高校では、国語や数学などの共通科目と、将来に直結する専門スキルを身につけるオプションプログラムとの間に、「哲学・科学・経済」の教養探究科目を設けた3層構造の学びを提案しています。「教養」は単なる広い知識だけを指すのではなく、「答えのない時代」に自分で考え、確かな基準に基づいて適切な判断を下し、どんな状況でも生き抜いていくために必要となる思考力であり、いわば知的な基礎体力です。それには課題点を見つけて、みんなで協働して議論して導いていく力がとても大事で、その中心になるのが「哲学」です。また、AI社会における幸福観や遺伝子治療における生命倫理の問題などを切り拓くためにも、哲学する力が欠かせません。
 もう1つは、学びの個別最適化が必要といわれていますが、子どもがもっと深く学びたいと思っても受験に出なければ、それは大学に行ってからというのが今までの教育のあり方でした。その意味でも、自分で考えることができる科目として「哲学」を設けました。
一方で、しっかりと現実を見る目としては「科学」が必要です。技術革新によって社会は大きく変化するため、そのことをきちんと把握しないと未来を予測できないし、現在がどういう場所にいるのかもわからないからです。さらに、日本の教育で遅れているのが、「経済」についての学習です。現代社会を構成する最も大きな力であるにもかかわらず、これまで学校ではお金の稼ぎ方や経済の正体については教えてきませんでした。つまり、この3つの柱をしっかり探究することによって、実社会に出たときに自立していけるような人材を育成していきたいと考えました。

デジタル&オンラインだから「対話」が増える

 ―そうした素養を身につけるための授業スタイルとして取り入れているのが、議論と対話を重視する最新のテクノロジーを活用した「オンライン・アクティブ・ラーニング」ですね。

 山本 コロナ禍の「学びの保障」として行われたオンライン授業は、既存の授業をそのまま置き換えたものが大半でした。それとは逆に、私たちは子どもたちが主体的に学ぶ方法としてオンラインを採用しているのが大きな違いです。これからの子どもたちには知識を覚えること以上に、自分自身の考えを表現することが求められます。そんな高校生としての理想の学びを追求した結果、たどり着いたのが「オンライン・アクティブ・ラーニング」になります。
 ここでは、自分の考えをテキストやプレゼン動画にまとめていく力を身につけられる「UMU(ユーム)」というITツールを活用。生徒は1つのテーマについて講義で学び、自分で調べ、先生や全国の生徒と議論し、時にはわからないところを教え合っていくことで、学びを深めていくことができます。

 ―今の子どもたちは対面で急に発言することが苦手な傾向にあるため、「UMU」でSNS的にじっくり考えながら議論をするところから始め、そこからZoom上での議論、さらにはスクーリングへと段階的なトレーニングになっているのがポイントですね。

 山本 はい。たとえば英語の課題はスマホで撮影してアップするようにしていますが、その事前段階の練習としてAI診断を用意しています。すると、生徒はきれいな発音を提出したいから自然に会話する量が増える。このようにオンラインにすることで、対面授業よりもパフォーマンスを上げることに注力してカリキュラムを設計しています。
 強調したいのは、学習塾を通じて40年教育に関わったものとして、あえてオンラインを選んでいることが、これまでの通信制高校とは一線を画すところです。それは、自分の意見を持ち相手と協働するコミュニケーションスキルを育成するためには、今はオンラインを使った方が体現できると考えているからです。不登校や引きこもりの子どもに対してオンラインの優位性を選択する通信制高校はすでに存在しますが、その次の、本気で学びたい人、未来を生きる実学になるオンライン学習を目指そうというのが本校になります。

未来を見据えたプロフェッショナルな進路設計

 ―進路に関しても、偏差値で自動的に決めるのではなく、それぞれの生き方・働き方に基づいて「自分だけの進路」を考察することを推奨しています。

 山本 本校では高校生を「大人のはじまり」と捉えて、本気で人生のキャリアを考える生徒に対してプロフェッショナルな進路設計でサポートします。これまでは大学に入って将来のキャリアを考える傾向にありましたが、VUCA(Volatility<変動性>、Uncertainty<不確実性>、Complexity<複雑性>、Ambiguity<曖昧性>)と言われる先の見えない時代においてはキャリアに関する関心が高まり、高校もしくは中学から将来を真剣に考える人の割合が増えてきました。それでも多くの高校では偏差値に基づいた受験指導を継続していますが、本校は最も新しい学校として未来に基づいた進路指導を行います。
 ただし、未来に対する予測は不確実なものです。本校ではデータに基づいていくつかの可能性の高い未来予測を提示しますが、それよりも大切なことは、生徒個々人が自分で考えて未来を見据えることです。

 ―こうした子どもの将来に直結する学びとして、「オプションプログラム」も充実かつ先端を走っていますね。

 山本 高校3年間でどういうことを身につけておけばいいのかという答えとして、「進学」と「未来の働き方」それぞれに向けたオプション講座を用意しています。「大学受験対策」では、母体であるワオ・コーポレーションが運営する全国500箇所にある塾と連携し、国公立大学や難関私立大学への受験を全面的に支援します。ここでは偏差値だけで大学を選ぶのではなく、その子の専門性にマッチした大学をコンサルティングしてあげることに力を注いでいます。「高校留学・海外大学進学支援」では、TOEFL(R)iBT60対策コース、TOEFL(R)iBT80/100対策コースのほか、使える英語力と世界基準の教養獲得を目指してダブルディプロマコースを開設。オーストラリアの高校に長期留学をし、卒業時には日豪両国の高卒資格を取得することで、世界中の大学への進学が可能になります。
 一方、未来の働き方に向けては、膨大なデータの中から新たな社会的価値を創造できる人材を育成する「データサイエンティスト養成プログラム」があります。シンギュラリティとも言われるAI技術革新においては、あらゆる産業のDX(デジタルトランスフォーメーション)が加速し、AI技術の需要は飛躍的に高まります。そこでは単なるプログラミング能力では通用せず、コンサルティングとしてのAI導入と開発が求められます。本校では、AI開発会社の現役データサイエンティストから最先端のAI技術を学び、初心者でもプログラム終了時には開発実務を担えるレベルを目指せます。最近大学でも新たな学部として開設する動きも多くなっていますが、実は海外では10代が多く活躍している分野です。
 もう1つが「アントレプレナー養成プログラム」で、仕事を創れる人の仕事は誰にも奪えないと考えているからです。100年寿命の時代においては、働くステージが長期化するため根本的な働き方改革が起こり、そこではあらゆる働き方に自律型キャリア形成が求められます。このプログラムでは、社会のニーズや課題を把握し「自分で仕事を創る」ことを経験。実践を通して常に自立し、社会を変革していける人材を育成します。
 このような講座を設ける理由は、教育を商品として見た場合、未来を見据えないと商品化できないと考えるからです。というのも、今の教育は子どもたちが10年20年後に活躍する社会にフィットしているとは思えないからで、いわばそこに向けた回答の1つと捉えています。

自立・変化を求める子どもの進学先に

 ―中学生に向けたオンライン個別相談会も始まっています。どんなお子さんが参加していますか。

 山本 自ら進んで問い合わせをしてきたり、体験授業を受けに来たりと、私たちが意図した教育方針に対して敏感に反応してくれたお子さんが、思った以上に多いことに驚いています。
 従来の通信制高校というと、働きながら学ぶ、勉強が苦手、学校に通えないといった子が選ぶ傾向にありましたが、ほとんどの子がもっと将来に生かせる学びを受けたい、社会で役立つ勉強をしたいといった前向きな理由で選択しています。むしろ、先生方や保護者の方が本校のような新しい学びを取り入れる学校に対して戸惑いがあるのではないでしょうか。
 保護者の世代はみんなと同じであることが安心だと考えていますが、意識が高く自立的な子は変化に対応する方が安全だと思っている。世代間でのリスクの概念が変わってしまっているのが、今という過渡期を迎えた時代の特徴です。その点では、こうした世代をつなげることが私たちの今後の課題であり、たとえば、現在学校現場で探究的な学びに向けてアクティブに動いている先生にも勇気を持っていただける、視察したいと思わせるような学校を目指したいと思います。

 ―学校現場に向けてメッセージを。

 山本 社会がこれだけ多様化してくると、子どもにもさまざまな価値観が生まれて、現場の先生方も困っている部分があると思います。たとえば不登校の子どもが増える中で、子どもを学校に無理やり連れてくることが教育なのか、通学という選択をしなくても教育できる方法はないのかと考えます。本校のようなオンラインを使った新しい教育スタイルも、それが正しい、正しくないではなく、選択肢の1つとして、こんな学校があることをまずは知ってほしいですね。
 進路にしても、おそらく現場の先生の方が、今の子どもたちにとって偏差値だけで進路先を当てはめることが良いことではないと痛感しているのではないでしょうか。けれど、これまでは選択肢がなかったのも事実。その中で、私たちのような高校に向いた生徒も必ずいると思っています。ぜひ、教育内容を紐解いていただき、子どもたちの進学先の1つとして考えていただければと期待しています。

2021年度新高1年生入試概要
~3年間の学びを自分でデザインできる~

概要
 学校名:ワオ高等学校(認可申請中)
 学科:普通科(男女)
 課程:単位制・広域通信制課程
 所在地:岡山県岡山市北区磨屋町7―2
 定員:1200名(1学年400名)
 ※2021年度は「高1生」のみ新入学、転入学、編入学を募集。

学費
 (1) 入学金:50000円
 (2) 教育関連諸費:120000円
 (3) スクーリング諸費:90000円(3泊4日×年2回)
 (4) 授業料:9600円×登録単位数
 

新入学出願資格
 ・2021年3月中学校卒業見込みの者
 ・中学校卒業時、高等学校に入学したことがない者
 ・出願時に高等学校を中途退学しており、1年次より本校への入学を希望する者

一般入試(新入学)
 I期:出願=1/18(月)~2/11(木) 面接=2/17(水)~2/21(日)
 II期:出願=2/15(月)~3/4(木) 面接=3/10(水)~3/14(日)
 III期:随時(若干名募集)

 <出願方法> Web出願(自己PRシート・調査書は郵送にて)
 <入学検定料> 10000円
 <選抜方法> 書類選考・面接試験

 ※詳細は、https://www.wao.ed.jp

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