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コロナ時代の教師のしごと これからの授業と教育課程づくりのヒント

16面記事

書評

教育科学研究会「教室と授業を語る」分科会・中村(新井)清二・石垣 雅也 編著
現場の知恵と工夫、将来像を提示

 新型コロナウイルス感染拡大防止に伴う学校の休校措置は、長い自治体で約3カ月にも及んだ。
 突然の休校を経て再開された学校で、先生は子どもとどう向き合っていくべきか、現場の実践アイデアと将来像を提案しているのが本書である。
 執筆者は、大学教員2人、公立小学校教諭7人、公立小学校栄養教諭1人である。これからの授業と教育課程づくりのヒントが、実践に基づいて具体的に記されている。
 読んでいると、各学校が、感染防止と、子どもたちが安心して学べる学校づくりのために知恵と工夫を出し合い、前向きにこの危機を乗り越えようとしてきたことが分かる。
 再開後、まど・みちおの「ぼくが ここに」の詩の授業から始めた先生は、「授業は、(休校中に)子どもたちが考えてきたことを確かめ合う時間になった」と記している。
 「3密の中でどうする体育?」と題した体育の実践では、「体育授業における8つのリスク」のうち特に重要だと思われるものに関して、種目別評価表を作成する等きめ細かな計画やお薦めの教材を紹介している。
 ベテランの元教員のアドバイスで、若い教員が、必死に奮闘する授業実践が参考になる。
 コロナ時代にあって、改めて教師のしごとの大切さを実感できる書である。
(880円 旬報社)
(谷 智子・高知市教育委員会委員)

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