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ポジティブサイコロジー 不登校・ひきこもり支援の新しいカタチ

15面記事

書評

松隈 信一郎 著
「強み」に目を向ける効果説く

 「見守りましょう・待ちましょう」の罠。第二章「ガーデン・アプローチ:ポジティブサイコロジーによる不登校・ひきこもり支援」にある小見出しに心がざわめく。
 ポジティブサイコロジーの知見を応用した新しいアプローチが、不登校やひきこもりの若者の「可能性」を拓いていく力があると感じている著者が、事例を踏まえながら、彼らの支援との相性の良さを伝えている。
 1998年アメリカのセリグマン氏が新しい心理学として提唱したポジティブサイコロジー。欧米圏を中心に広がりを見せ、現在ではポジティブな感情についての研究が盛んになり、人の「強み」やプラス面に焦点を当てることのさまざまな効果が明らかになってきているという。著者が名付けた「ガーデン・アプローチ」は、支援する子どもの強みを「花」、ネガティブな側面を「雑草」、支援する大人を「庭師」に例え、目がいきがちな雑草から少し離れ、俯瞰的に「庭」全体を見ていくというものである。
 第三章「子どもの『花』(強み)を育てる」の一節「『ひきこもり』という現象は、(中略)ある『強み』を使い過ぎている、または全然使っていない状態であると捉えた方が健全なのではないか」に新たな視点を感じる。不登校・ひきこもり支援とは何か、本書を手にし考えたい。
(3080円 金剛出版)
(伊藤 敏子・仙台市教育局学びの連携推進室専門員)

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