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小学校高学年で教科担任制導入提言、高校普通科改革など盛る 中教審答申

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 文科省は1月26日、中央教育審議会の総会を開き、小学校の教科担任制導入や高校普通科改革などを盛り込んだ答申をまとめた。教科担任制は高学年で令和4年度をめどに導入することを提言した。普通科改革では、教育委員会などの判断で学際的な学びに重点を置いた学科などを設置できるようにする。

 答申は「『令和の日本型学校教育』の構築を目指して」。知・徳・体の育成を目指す日本型学校教育の強みを確認する一方、子どもの学習意欲低下や教員採用倍率の低迷などの課題を指摘し、各分野で提言をまとめた。
 小学校の教科担任制では専科指導の対象教科として外国語、理科、算数の3教科を挙げた。検討会議で今後、具体的な教科を決める。中学校の学習を見通した指導ができるようになることや、教員の持ち授業数が減り、働き方改革につながることが期待できるとした。
 それに合わせて小・中両方の教員免許状を取りやすくすることも求めた。教職課程で共通科目を拡大し、免許状併有者を増やす狙いだ。
 学習内容の定着を図るため、補充・発展指導を取り入れることも改めて求めた。「学年や学校段階を超えて先の学年・学校の内容を学習したり、学び直しにより基礎の定着を図ったりすることも考えられる」と明記した。補充・発展指導は学習指導要領を「最低基準」と位置付けた平成15年度から認めてきた。
 高校の普通科改革は新学習指導要領が実施される令和4年度から進める方針を示した。産業構造の変化や生徒の学習意欲の低下を背景に改革を進める。
 SDGs(持続可能な開発目標)など学際的な学びを重視したり、地域課題の解決に取り組んだりする学科を高校設置者の判断でできるようにする。必履修教科・科目は現在の普通科のまま、学校設定科目などを活用して学べるようにする。また、各高校で果たすべき社会的役割を見直すため「スクール・ミッション」や「スクール・ポリシー」を設定することも求めた。
 特別支援教育の分野では、在籍者が年々増えている特別支援学校の教育環境の整備を提言した。これまでなかった設置基準を設けることや、教室不足解消のために新築や増設を進めることを求めた。
 答申の末尾には、今後さらに検討を必要とする事項も明記した。小・中学校の35人学級化に伴う教員確保策や、学校の組織力を高めるための教育委員会事務局の機能強化の在り方を挙げた。

<答申の主な内容>
 ・小学校高学年で令和4年度をめどに教科担任制を導入する
 ・小・中学校の免許状併有を促進するため、教職課程で共通科目を増やす
 ・高校普通科を設置者判断で学際的な学科などに変えられるようにする
 ・各高校で「スクール・ポリシー」などを設ける
 ・特別支援学校の設置基準を設け、教室不足解消のため新築・増設を進める

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