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「学校」をハックする 大変な教師の仕事を変える10の方法

14面記事

書評

マーク・バーンズ、ジェニファー・ゴンザレス 著
小岩井 僚・吉田 新一郎 訳
米国発の「働き方改革」提案

 働き方改革の必要性から学校の業務改善が叫ばれているが、その進み方はあまり芳しくない。昨年の臨時休業では、通常とは異なった勤務の仕方や子どもとの関わり方を経験した。また、全国の自治体でタブレット配布や通信環境などの整備が急ピッチで進行している。見方を変えれば、これまでの「学校というもの」を見直す好機にあるともいえよう。
 「ハックする」とは、セキュリティーを突破して侵入するというネガティブな意味合いに受け取られているが、本書では、仕事の質や効率を高める強力な「アイディア」の意で用いられている。米国の学校での実践に基づく10の提案と実例が紹介されているが、「長時間の無駄な会議」「ほとんど行われていない相互の授業見学」「小さな問題行動への対応」「ICTサポートの不足」「新任教師の育成と支援」「本離れ」「クラス運営」など、米国の教師も日本と同じ課題で悩んでいることが興味深い。
 ところで、学校で実際に何かを変えようとすると、「でも」という声が出てブレーキがかかることがある。本書では、そうした「でも」という周囲の人たちをどう動かすかという課題にも応えている。学校には、まだ人や物、場所など眠ったままの資源がある。目の前にある物を違う視点から見直して、少しの工夫を加えれば意味あるものにすることが可能となる。本書からヒントを得て、「変える」に挑んでほしい。
(2200円 新評論)
(大澤 正子・元公立小学校校長)

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