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もし「未来」という教科があったなら 学校に「未来」という視点を取り入れてみた

18面記事

書評

未来科準備室 編
教育関係者はじめ多彩な執筆陣

 「未来科準備室」という研究会名義で出版された本書は、河合塾で中高生や大学生の教育に関わる山本康二氏、山本尚毅氏と「月刊高校教育」編集部の二井豪氏が出会い議論を重ね出来上がった一冊。組織の枠組みをプラットフォームとしつつも、動くのはあくまでも個人。こうした試み自体を一つの「未来」の在り方として提示しているという。
 本書の構成は、大きく三つ。PART1では「未来」を見据え現状を大きく変える方々の考えを、PART2では「未来」を視点にしながら取り組む学校内外での新しい学びを、そしてPART3では、学校の現実と照らし合わせて「未来」を考える内容となっている。
 19人の執筆者は、学校関係者のみならず学校外・教育を専門としていない方も多いのが本書の特徴である。
 先が見えない時代、ともすれば「未来」は大変だというおびえと不安に目が行きがちな私たちに、「未来」を考える新たな視点を与えてくれる。しなやかさ、対応力、自己決定、非認知能力…、心に響くキーワードに「学校にできることがある」と希望が湧いてくる。
 編者である山本康二氏が語る「教育の力は無限大。先生自身がワクワクすることを始めることから『未来』は始まる」を、教育に携わる者へのエールとして捉えたい。
(1980円 学事出版)
(伊藤 敏子・仙台市教育局学びの連携推進室専門員)

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