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感覚過敏を疑似体験 川崎フロンターレの動画に反響

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学校が舞台、合理的配慮も

 登校時の周囲の音や授業中の話し声が気になる、教室の窓から入る光がまぶしくて目がチカチカする―。サッカーJ1の川崎フロンターレが、感覚過敏の特性のある子どもの立場で学校生活を疑似体験できる動画をYouTubeの公式チャンネル(https://www.youtube.com/channel/UClIA2_cErgsKq7pfG2jaX2g)で公開し、反響を呼んでいる。個別に必要な支援を行う「合理的配慮」も取り上げており、学校や企業から研修の教材として利用したいとの問い合わせが寄せられているという。

 動画は約7分。昨年5月に公開し、再生回数は今年2月下旬に100万回を超えた。VR(仮想現実)を活用し、小学校の校門前や教室、校庭を舞台に、感覚過敏のある男子児童の目線で場面が移り変わる。
 男子児童は校門前や図工の授業で、他の児童の話し声や活動中のトラブルなど視覚や聴覚から入ってくるさまざま情報に戸惑い、動けなくなってしまう。混乱する男子児童に対し、教員や同級生が声を掛け、静かな場所への移動やヘッドホンの着用を促す。
 さらに校庭での体育の授業では、サッカーのPKに挑戦する際、ボールの蹴り方について同級生が具体的な言葉や実演を交えて説明する姿を描いている。
 川崎フロンターレは令和元年7月、ホームスタジアムの等々力陸上競技場(川崎市)で開かれた大分トリニータ戦に、川崎市と大分市に在住する発達障害の子どもたちを招いた。音や光に配慮した「センサリールーム」を競技場内に設置し、強い照明や大きな音が苦手な子どもたちにもサッカー観戦を楽しんでもらえるようにした。国内で初めての取り組みとされている。
 動画は発達障害の子どもたちへの理解や認知を高めるためのプロジェクトの一環で、富士通と制作。川崎市立小杉小学校で撮影した。
 YouTubeのコメント欄にも多くの感想が届いている。川崎フロンターレの担当者は「印象的だったのが、この動画で自分が感覚過敏だと初めて知った人がかなりいたこと。発作やパニックを起こすほどではないが、つらい思いをしながらも、それが当たり前と感じている人もいると分かった」と話している。

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