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社会教育経営の基礎

16面記事

書評

山本 珠美・熊谷 愼之輔・松橋 義樹 編著
地域連携など学校現場の参考に

 社会教育主事講習等規程の改正に伴い、「社会教育計画」から置き換わった新科目「社会教育経営論」のテキストとして刊行した。
 社会教育経営の考え方から社会教育の行政、職員、施設、学習課題、広報戦略、社会的包摂、地域ネットワーク形成の概要を知り、学校・家庭・地域や民間非営利団体、企業、高等教育機関との連携・協働の必要性を理解できるよう全16章で構成する。
 社会教育主事養成の見直しの趣旨である「NPOや企業等の多様な主体と連携・協働」「社会教育事業の企画・実施による地域住民の学習活動の支援を通じて、人づくりや地域づくりに中核的な役割を担う」職務の遂行に必要な基礎・基本的部分を学べる内容を網羅した。
 特に、巻末に配した「学校教職員等が社会教育を学ぶ意義」と「社会教育計画と社会教育経営」の二つの「特論」は「地域」を抜きに語れない学校の今と、「完成形のない教育」を追究する社会教育の本質を知るには必読である。
 地域に身を投じ、学校教育とは異なる教育を垣間見た社会教育主事経験のある教員の授業、管理職の学校経営がユニークな実践につながる例は少なくない。講習受講者にならなくとも、本書によって異質な世界の一端に触れることができるかもしれない。
(2750円 学文社)
(矢)

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