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スポーツ施設の天井耐震化に「不燃膜天井システム」を採用

10面記事

施設特集

「不燃膜天井システム」で明るい印象に生まれ変わった体育館(柳北スポーツプラザ)

東京・台東区

 スポーツ施設や学校体育館の吊り天井が地震などによって落下した場合、重大な危害を生ずるおそれがあることから、建築基準法の新たな安全基準に基づき、天井材や照明器具、内・外装材など「非構造部材」の天井脱落対策が進められている。こうした中、台東区では柳北スポーツプラザの体育館における天井耐震化工事に、区では初となる「不燃膜天井システム」を採用した。その理由について、施設課の西方典子氏に聞いた。

地震などで落下した場合も人的被害を出さない天井に

台東区役所総務部施設課

台東区役所総務部施設課 西方 典子 氏

特定天井の脱落対策として耐震化改修を実施
 柳北スポーツプラザは4階建の建物に体育館や屋根開閉式プールを備え、屋外のテニスコートと併せて台東区民のスポーツ施設として利用されている。その中で、昨年10月から天井の改修を進めているのが、1~2階の吹き抜け構造となる体育館(25m×20m)だ。
 「ふだんは地域の方々に貸し出し、バスケットボールやバレーボールなどスポーツを楽しむ場として使用されています。建物自体は築約30年経っており、体育館の天井は竣工時のままで、特定天井に該当します。そのため、地震などの災害によって落下したときに人的被害を引き起こすおそれがあることから、天井改修を行うことになりました」と西方氏は語る。
 国土交通省では、東日本大震災で建物の天井落下による大きな被害が各所で相次いだことから、高さ6m超、面積200平方m超、質量2kg/平方m超の特定天井(吊り天井)を有する施設については、新たな安全基準に従って脱落対策を講じることを定めている。同体育館もこれに該当するため、天井の改修が必要だった。

他工法と比較した中で膜天井システムを選択
 今回の改修では吊り天井を取り払うとともに、天井に敷設しているダクトや照明などの耐震化を実施。その上で、不燃性のガラスクロス製シートと小型化されたメーカー独自のレールで天井を張る膜天井システムを設置した。
 こうした特定天井の改修に「不燃膜天井システム」を選んだ理由について西方氏は「スポーツ施設ということからボールが当たったときの衝撃に強く、万が一落下したときも安全性の高いものという基準で選考を開始。システム天井などの工法や直天井にする場合も含めて比較・検討した結果、安全性やコストなどトータルに考えて長所の多かった不燃膜天井システムを採用することにしました」と振り返る。
 そんな「不燃膜天井システム」は、「硬く重く」から「柔らかく軽く」へをコンセプトに開発され、天井材の中でも地震時の落下に対する安全性が高いことが最大の特長だ。不燃性のシートでありながら、約0・6kg/平方mと非常に軽く、落下したとしても素材が柔軟で衝撃が少ないこと。しかも、下地材を含めた天井の重量も「特定天井」の基準を大幅に下回る2kg/平方m以下を実現している。

わずか1カ月半の短工期で工事を完了
 「不燃膜天井システム」のもう1つの特長は、従来の天井材と比べて下地材が少ないため、スピーディーに施工できることだ。現在、膜天井システムは学校体育館の天井落下対策としても数多く導入されているが、児童生徒の活動に支障の少ない夏休み期間に施工できる点が採用を進める一因になっている。  西方氏も「膜天井工事は、12月から始めて1月中旬には完了しており、思った以上に工期が短く済みました。また、新しく付け替えた照明やダクトとの兼ね合いで調整する部分も出てきたりしましたが、膜ならではの柔軟性のある素材によってスムーズに施工することができました」と強調した。

「不燃膜天井」改修工事の様子

「不燃膜天井」改修工事の様子

美観性に優れ、以前より明るい雰囲気に 生まれ変わった
 設置後の出来栄えについて尋ねると、「膜自体がホワイトのシートなので、以前より明るい雰囲気に生まれ変わりました。膜の張り方もシワがなくきれいな仕上がりで、継ぎ目も少ないためすっきりとした印象になったと思っています。現場に立ち会った施設の管理担当者も、再開後の利用者の反応が楽しみといってくれました」と満足する。
 このように膜天井はフラット性が高く、シャープな天井面を表現することができることから、美観性にも優れている。加えて、膜天井の施工により天井に空気層を形成するため熱抵抗で断熱性が向上するほか、促進耐候性試験によって色あせしにくいことも実証されている。さらに、膜天井は湿気を吸わないシートのため、室内プールなどの多湿環境に最適な天井システムになっている。

他スポーツ施設の天井改修も視野
 スポーツを楽しむ台東区民にとっては改装した体育館の再開が待たれるところだが、現在は工事完了後の検査・手直しなどを行っている段階だという。区では、今後も天井改修を控えているスポーツ施設が数箇所あることから、今回の膜天井による施工も含め、安全性を向上するよりよい耐震化のあり方を検討していく意向だ。

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