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一刀両断 実践者の視点から【第4回】

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 デジタル教科書やタブレットの普及で教育環境が大幅に変わってきている。そこで、ワープロやパソコンが入ってきたときに、最後まで、「そういうのはやらないので」と、得意気に笑って誤魔化していた校長達がかなり居たことを思い出す。校長として求められるスキルではないと言いたげに、根拠のない自慢をしている姿に慢心と怠慢を感じたものである。
 その後、携帯電話が一気に広がり、そうした言動も見聞きしなくなった。日本社会のデジタル化への対応が明らかに遅れてしまったのは、そうした校長の態度が少なからず影響を与えたことは間違いがないだろう。さらに行政へ出た者の中にも、出来ないことを恥ずかしがるのではなく、自慢気に話す教育長などがいた。
 これは基本として求められるスキルであり出来ないことを自慢することではない。それなりの器があったなら先見性を持って若者に教えをこうべきであったのだろう。
 こうした輩は、ネットモラルを重視することなく、予算を含め明らかに軽視した結果、その怠慢が現在の青年層の姿の中に如実に吹き出している。
 校長がリーダーとして先を読み率先垂範する姿勢が組織には必要である事は分かっていただろうが、かなりの者が勘違いをしていたのである。座して自慢話をするのではなく、稚拙でもやってみせる事が必要だったのであり、今もその姿勢は求められている。
 しかし、そうでない現実があるからこそGIGAスクール構想で1人1台のタブレットが現実になる中、宮崎県都城市で行われた校長研修がニュースになるのだろう。それも大学教授を呼んで、タブレットの入力練習からこの時代にやらざるをえないのだから言葉を失う。

 ここで、校長に求められるスキルを振り返ってみたい。

 ・基本的なコンピューター操作
 ・グローバルな視点
 ・個々の心情理解
 ・法的知識
 ・コンプライアンス意識と管理
 ・先見性
 ・行動力
 ・品位品格
 ・人間性の鍛練
 ・保護者対応
 ・地域連携開拓
 ・自己制御
 ・危機管理能力
 ・授業示範
 ・同苦力
 ・素行観察力
 ・家庭環境把握
 ・健康状況把握
 ・異業種異文化交流

 このようなことが求められると私は思って勤めていた。勿論すべてを満たしてやれてはいなかった。しかし意識を心掛けたのは事実である。よってかなり柔軟な判断と即行即止が出来たのかもしれない。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)

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