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教師が知らない「子どものスマホ・SNS」新常識

12面記事

書評

藤川 大祐 著
学習活用の是非、いじめの実態など

 「2000年代の常識のまま子どもたちにとってのスマホやSNSを考えているわけにはいきません」―これは本書「はじめに」の一節である。著者は、子どもにとってのスマホ・SNSだけでなく情報技術全般について読者に認識をアップデートしてほしいとの願いから、七つの章で異なる問題を取り上げ論じている。
 「#『スマホでの学習』是か非か」「#逃れにくい『ダブルバインド型いじめ』」「#先進国最低レベルの情報活用」「スマホ時代の『お金』の問題」―など、どの項目も興味深い。
 1人1台端末の環境整備が、コロナ禍で前倒しされた令和2年。期待とともにある世間の不安な声は、ゲーム依存、SNSによる誹謗中傷などの問題に起因するものであろう。日本の子どもたちのインターネット利用が、私的な娯楽的なコミュニケーションに偏っているという現状を受け止め、どうあるべきか、認識の更新が急がれる。
 第5章社会参加型の情報モラル教育へ「#デジタルシティズンシップ教育の、その先へ」に教育が追究すべきヒントがある。
 「2030年イノベーション失敗バージョン」の中の「せっかくある端末が保管庫に入ったままという学校も珍しくなくなった」。この衝撃的な一文が幻のものとなるよう、本書を手にして考えてほしい。
(1980円 教育開発研究所)
(伊藤 敏子・仙台市教育局学びの連携推進室専門員)

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