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「学歴なんて関係ない」はやっぱり正しい

12面記事

書評

安井 元康 著
社会人の学習の大切さ説く

 本書のはじめにの中の次の一節を、教育関係者や親は、十分にかみしめる必要がある。
 <いつまでも学歴・大企業信仰に囚われる。まわりと比較しては羨み、妬んでは批判する。そうしているうちに、人生の成功はみるみる遠ざかります。>
 本書はこのような人生にならないために、「学歴」よりも社会人になってからの「学習歴」の大切さをご自分の体験を踏まえながら具体的に提案している好著である。特に仕事と学習をリンクさせるために挙げてある次の3点は、教師人生の設計にも必須である。
「モチベーションの保ち方」「時間の使い方」「効率よく学習するためのポイント」
 例えば「時間の使い方」一つ取っても、長期的な視点と短期的な視点が求められると説いている。これはとても新鮮な指摘であった。
 この二つをごちゃごちゃにしていると、先の教職人生が見えてこない。場合によっては実にささいなことを気にし過ぎて、仕事そのものへの意欲が減退してしまうこともある。
 著者は教師ではない。しかし本書を読んでいると、教職人生の学びの在り方を示唆しているように読み取れる。
 なお、著者は、「自分を好きになる勇気を持つべきです」と熱く語っていた。コロナ禍にあって、卓見である。
(1540円 草思社)
(庭野 三省・新潟県十日町市教育委員会教育委員)

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