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物語る校長 新しい教育リーダーシップ

16面記事

書評

牧田 秀昭・秋田 喜代美 著
学び合い、育ち合う学校づくり

 これからの学校にはさまざまな人々が多様なタイミングで集い、学び合うことが求められる。そうであるならば、リーダーである校長は、子どもたちだけでなく教員も含めたみんなの「学びの物語り」を語る存在である。
 本書は、学力全国トップクラスを維持する福井県で中学校校長を務める牧田秀昭氏が校長通信の発行、保護者面談の改革などの実践を具体的に明かす。また、全国各地で授業研究に携わる秋田喜代美・学習院大学教授が教育学や現在の情勢に照らしてコメントしている。これらのことから、学校を学び合い、育ち合う場とするためのヒントを探っている。
 計8章で構成した内容は、冒頭の序章で「コロナ禍の日々」について掲載。未経験の連続で学校現場が大きく揺れる中で行ってきたさまざまな決断、明らかになった学校の役割について述べている。その後、第1章から第3章で学び、育つ場としての学校の姿を解説し、校長として学校を動かす方策を具体的に説明している。第4章から第7章は校長通信を書く意義と具体的な実践内容、現在の勤務校で進行中の動きを紹介している。
 牧田氏のさまざまな思いや実践の中で一貫しているのは、「今の、目の前の子どもたちにとって」という視点。そして、書かれている取り組みや考え方の全てが今の時代の学校教育、学校経営に求められている。現職の管理職だけでなく、これからの教育リーダーを志す人にも参考になる一冊だ。
(2200円 左右社)
(秀)

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