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一刀両断 実践者の視点から【第19回】

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シナリオのある取材

 またもや、発言の一部を切り取って、人々の怒りを駆り立てている。
 誰に求めたのだろうか。IOCのバッハ会長が「我々は犠牲を払わなければ」と発言したという。この一文を取って問題だと騒がせようと陽動している事が明らかな気がする。
 ある意味、こうした言葉が出ることを想定して「やはりバッハが言ったぞ」と、虎視眈々と狙っていたようにも思える。
 こうした当初からシナリオのある取材が、以前より教育界にもよく起きている。いじめがあったと決めて、その筋道に合うコメントを切り取って文字にするのだ。前後の流れを読むとそうは読めないものやニュアンスが微妙なものがあるが、ターゲットにされた場合は如何様にでも料理されかねないのである。
 報道の自由と声高に言われるが、間違った報道の訂正はわずか一言か、一行にしか過ぎない。その事実を知るにつけてもメディア権力の横暴に感じられる。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)

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