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わいせつ行為防止法成立 教員免許の再交付、審査を義務化

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行財政

写真は記者報告会を開く馳浩・元文科相(右)と浮島智子・元文科副大臣(左)=5月28日、衆院議員会館

 教職員による児童・生徒へのわいせつ行為を防止するための法律が参議院本会議で5月28日、全会一致で可決・成立した。わいせつ行為で免許状を失効した人を「特定免許状失効者」と定義し、免許状を再交付するには都道府県教育委員会が置く審査会の意見を聞かなければならないと記した。
 法案は自民、公明両党が検討してきた案に野党が賛同し、超党派による議員立法として提出された。
 法案では教職員からのわいせつ行為を「児童生徒性暴力」と位置付け、児童・生徒に生涯にわたって回復し難い心理的外傷を与えるもの、と指摘。防止のために文部科学大臣が基本指針を作ることや「特定免許状失効者」についての正確な情報を把握するため、国にデータベースを整備することを定めた。
 現行の教員免許法では、わいせつ行為で懲戒免職となり、免許状を失効しても、3年後には再取得できる。これに対し、今回の法案では都道府県教委に審査会を置くこととし、免許状の再交付に当たって意見を聞くことを義務付けた。審査会の組織や運営に関することは今後、文科省が定めることとした。
 法案は他にも、地方自治体が学校や警察などの関係者による連絡協議会を置き、防止策を講じられることや、学校がわいせつ行為を把握した場合には迅速に対応しなければいけないことなどを盛り込んでいる。法律は公布後1年以内に施行する。

 法律の成立を受けて、同日には与党の代表による報告会が開かれた。
 新法で免許状再交付の可否を判断できる「拒絶権」を都道府県教委に持たせたことについて、馳浩・元文科相は「申請があれば形式的に授与し、授与したら採用するというのでは、わいせつ教師を現場から排除するツールが全くない。(拒絶権は)医師や弁護士にあるのに、なぜ教師にはないのか(と考えた)」と話した。
 可否を判断する審査会については「事案ごとに背景はさまざまあるが、できる限り類型化し、審査基準がばらばらにならないようにしなければいけない」と述べ、信頼性を持たせるよう第三者機関とすることを求めた。
 法律の附則では、学校で子どもに関わる教職員以外の人についても、わいせつ行為の防止措置を講じることを明記している。

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