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スマホ・ケータイ持ち込みの基本ルール 学校でのリスク・トラブルをどう防ぐか

16面記事

書評

竹内 和雄 著
トラブル例踏まえ具体的に解説

 「大人でも使いこなせていない機器の管理を子供に求めるのは大人の怠慢」―子どもを取り巻く大人へ、著者からの強烈なメッセージは読後も心に残る。
 令和2年7月、文部科学省が約10年ぶりに携帯電話の取り扱いに関する新しい通知を出した。著者は、同年秋に本書を執筆している。短期間で書き上げた事実に著者が抱く危機感の強さを感じる。その背景は何か―それは、今現在、携帯電話が持ち込み禁止であるにもかかわらず、「なし崩し」的に持ち込んでいること。つまり「ルールがあるのに守られない」という実態である。本書の執筆には「この通知を『携帯電話持ち込み解禁』と勘違いしている状況」を食い止めなければという著者の強い思いがある。
 本書は6部構成。PART1「携帯電話の持ち込みルールはこう変わる!」、PART2「想定されるトラブル事例集」、具体的事例を取り上げながら著者の見解がつづられる。PART3「携帯電話に関わる学校・地域でのルールづくりの進め方」には、子どもたちが主体となってルールづくりを進めるプロセスがあり参考になる。
 「今は過渡期だからルールが必要だ」と説く意味を理解し、来るべき超情報化社会に向け準備を始めるためにも、いま一度ルールを見直したい。
(1650円 学事出版)
(伊藤 敏子・仙台市教育局学びの連携推進室専門員)

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