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部活動指導員ガイドブック[基礎編]

16面記事

書評

藤後 悦子・大橋 恵・井梅 由美子 編著
学校の現状、ハラスメントなど幅広く

 学校教育法施行規則を改正し、平成29年度から制度化した部活動指導員。中・高校教職員の多忙化の大きな要因の一つとなっている部活動の負担を解消するため導入した。外部指導者には困難だった大会などへの生徒の引率なども職務に含めた。
 都道府県や市町村での導入は進んだろうか。本書は、学校設置者による研修や学校内での研修などで活用することができる内容だ。
 変化する学校教育の現状を語る「今どきの学校事情」に始まり、部活動や部活動指導員の位置付け、部活動のマネジメント、部活動指導員の業務、生徒の精神面での理解、やる気の育て方と実践的なコーチング方法、指導者として気を付けたいハラスメントなどを全9章で展開した。
 学校教育の一環としての活動であることから学校と連携するのに必要な心構えや事柄を取り上げ、また、スポーツ活動、文化活動双方を視野に、それぞれの特性を生かした指導上の留意点などへの目配りもある。
 法が規定する部活動指導員には、専門的な知識・技能に加え、学校教育に対する十分な理解を有することも求められていることに対応している。
 ただ、必要条件を満たす人材の確保や、自治体が3分の1負担する財政的課題も残る。必要とする学校に必要なだけの人材が措置できる日が来ることを祈りたい。
(2420円 ミネルヴァ書房)
(矢)

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