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学校の働き方改革を支援 勤務時間外の電話対応をゼロに(前編)

4面記事

企画特集

クラウド型電話転送サービス「転送録」

 学校の働き方改革の施策として、勤務時間外における電話対応の改善が注目されている。その際に課題になるのは、留守番電話と緊急連絡先の使い分けや、確実な受信体制づくり、また導入までの整備費用などがあげられる。これらのハードルを解消する「クラウド型電話転送サービス」が注目を集めている。
 株式会社ワイドテック(本社=東京都千代田区)の「転送録」は、留守番電話や、電話の自動転送、音声ガイダンスの切り替えなど、自治体や学校現場の状況に応じてカスタムできるシステムをクラウド型で提供している。
 長野県小諸市教育委員会では市内の小中学校に「転送録」を導入し、時間外の電話対応が大きく改善された。同教委が目指す学校の働き方改革に合致した「転送録」の活用法を2回に分けて紹介する。今回は導入のきっかけや、決め手となったコスト面のメリットを探る。

連絡もれ、ミスを防ぐために
 時間外の電話対応方法は留守番電話を設定すれば解決するわけではない。自治体や学校の状況に合わせて、緊急時に備えた連絡手段も求められる。その際、留守番電話は学校の代表電話で受け、緊急時は別の携帯番号で受けるといったように、複数の番号を設定していると保護者にわかりにくい連絡方法になってしまうことがある。
 「緊急連絡先がわからない・忘れた」が多発すると、万が一の際に学校として適切な対応が取れなくなるおそれもある。また、留守番電話機能付き電話への買い替えや、回線の増設コストなども軽視できない。
 こうした課題を解消できるのが、クラウド型電話転送サービスの活用だ。ワイドテック社の「転送録」は、留守番電話と緊急連絡時の電話転送を1サービス、1回線単位で手軽に利用できるシステムだ。教育委員会だけでなく、医療機関や旅行代理店、ITサービス業などで広く導入実績がある。
 同社では転送方法の切り替えを自動でスケジュール化する機能、複数の電話機を一斉に呼び出す機能など、ユニークで利便性の高いサービスを提供し続けている。学校の状況に応じて選択 学校で「転送録」を導入した場合、時間外の電話対応は

 (1) 留守番電話機能でメッセージを預かる
 (2) 事前に設定した緊急連絡先に転送する
 (3) 音声ガイダンスで緊急連絡先を案内する

 ―の大きく3つの方法で対応することができる。

 留守番電話は100件までメッセージを保存でき、録音音声を指定のメールアドレスに添付することもできる。時間外の受電履歴はウェブ画面でまとめて管理できるので、聞き漏れが発生せず、保護者対応がスムーズに行える。
 緊急連絡先への転送は教育委員会や児童相談所、警備会社等、指定の連絡先に設定することができる。また、発信者のボタン操作に応じて、留守番電話にメッセージを預けるか、緊急連絡先に転送を行うかを選ぶことができる機能もある。
 音声ガイダンスは時間外になるとシステムが自動で切り替わり、業務時間内になるとシステムが自動でガイダンスを停止。学校のスケジュールに合わせて時間を設定することも可能だ。
 「転送録」の多彩な機能の中から、勤務時間外における緊急連絡時の対応を徹底し、音声ガイダンスで緊急連絡先を案内する方法で時間外の電話対応の改善につながったのが長野県・小諸市教育委員会の事例だ。

時間外の緊急連絡を逃さない小諸市の事例
 長野県の小諸市教育委員会では、教員の時間外労働を減らす工夫の一環として、「転送録」を小中学校5校で導入し、勤務時間外の電話対応の劇的な改善を実現している。
 保護者が教員の勤務時間外に電話をかけると、緊急連絡先である小諸市役所宿直の電話番号が案内される。保護者が一度電話を切り市役所宿直にかけ直すと、折り返し教頭から保護者に電話が入る仕組みだ。これで緊急時の保護者対応を確実に行うことができる。
 導入の経緯はこうだ。市内の小中学校は開校して長い歴史のある学校が多い。当初、電話機本体に外付けの自動音声機器を設置しようと考えたが、8校のうち5校は、電話機が古く、電話会社の転送設備に対応できないことが判明した。そこで、古い設備でも対応できる「転送録」を導入することにしたという。
 年々、児童生徒数が減少傾向にある中、買取型の機器を各校に揃えても、数年後には不要となる可能性もある。そこで「転送録」のように利用料を毎月支払うクラウドサービス型で導入するほうが柔軟に活用できると判断した。
 当時の同教委学校教育課の担当者は「教育委員会の業務は、自治体として市民の税金を使うことになるため、費用対効果についてまず優先して検討しました。ワイドテックさんにもその点をご理解いただけ、予算内に収まるかたちで、ご提案くださったことが、大きな決め手となりました」と話す。
 自動音声システム導入は初めての試みだったが、電話やメールサポート、ホームページが充実しており「転送録」の特徴がすぐに理解できたのも好印象だったという。
 ワイドテック社では、現在、『時間外電話対応ゼロ』プランのデモダイヤルを用意している。音声ガイダンスの試聴や電話転送切替のトライアルも可能。留守番電話でのメッセージ預かりも試すことができる(通話料金別途。デモのため電話転送は行わない)。

 問い合わせ=株式会社ワイドテック Tel03・5829・4886
 https://www.10so6.com/work-style-reform

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