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一刀両断 実践者の視点から【第33回】

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児童相談所人事への疑問

 《「関係を壊したくなかった」…14歳と16歳の保護少女に淫らな行為 横浜児相“わいせつ職員”の悪質手口》(文春オンライン)という見出しのニュースを見て怒りを通り越して酷いと感じるより、やっぱりと感じるものは多いのではないだろうか。
 児相は相当な業務量を抱えるために、物理的にきめ細かく対応がされる事は少ないように思う。この記事で驚くのは職員がわずか2週間の研修でその職に付けてしまうというあり得ないシステムである。まさにお役所仕事として形式のみを整えるやり方ではないだろうか。
 入所する子ども達の状況は複雑多岐にわたっているのだから、ベテランでも対応しかねる場合もあるだろう。その対応をする職員のスキルや資質やレベルをこの程度でよしにしているのは、行政の価値観そのものであり、意識の低い知事や議会が長年放置している事なのである。
 これまで問題が表沙汰にならなかっただけで、クライアントの信頼を利用して、弱みにつけ込み性的関係に至る行為は、極刑にも値する卑劣きわまりない行為である。未遂も含めるとその数は計り知れない恐ろしさがある。
 但しだ。大半の職員は誠実に真摯に身を粉にして勤務し、黙々と使命を果たしている職員によりかなりの案件が救われている事に敬意を表したい。だからこそ、こうした採用や研修のシステムを早急に見直すべきであろう。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)

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