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高等学校 教科と探究の新しい学習評価

14面記事

書評

観点別評価とパフォーマンス評価実践事例集
西岡 加名恵 編著
秀逸な課題で指導と評価の一体化

 今次学習指導要領が育成すべき資質・能力(コンピテンシー)を三つの柱で捉えていることは釈迦に説法だろうが、その多面的な資質・能力を保障するために導入されたのが観点別評価であることはご存じだろうか。ここで評価は単なる成績付けの話ではない。
 生徒たちに身に付けさせたい学力は何かを明確にしつつ目標を設定(P)し、そのための指導(D)を行い、その経緯や結果について実態を把握(C)し、実態を踏まえて教育を改善(A)する「目標に準拠した評価」によって指導と評価の一体化を図ることは20年来、求められてきたが、いまだ定着していない。
 本書は、「指導と評価の一体化」を図るため中央教育審議会答申でも言及された「パフォーマンス評価」(ポートフォリオ評価法やルーブリック評価基準表に具体化される、知識やスキルをリアルな状況において使いこなすことを求めるような評価方法の総称)を観点別学習状況評価や総合的な探究の時間に実践する高校の各教科・探究の場面別に紹介する。具体的に提示されたパフォーマンス課題は秀逸である。
 事実的知識や個別的スキルの取得にとどめず、転移可能な概念や複雑なプロセス(手続き的知識)の習得を通して、各教科の本質的な問い、原理の永続的理解につなげる「逆向き設計論」が示す「知の構造」とそれを支える評価方法は、校種を選ばない普遍性を有している。
(2640円 学事出版)
(元兼 正浩・九州大学大学院教授)

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