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一刀両断 実践者の視点から【第47回】

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論説・コラム

教員の兼業の意義

 《教員の育児漫画出版は「教育と無関係」/都教委争う姿勢》(朝日新聞)という見出しのニュースが出された。兼職兼業は職務に専念する義務が疎かになるので宜しくないとするわけである。
 ならば僧侶を兼ねることは何故許されるのか。寺子屋の歴史があるからかもしれないが、現代の僧侶の仕事は教育と言えるのか。
 能力があり仕事もきっちり出来る力があるのなら力を発揮させてはどうなのだろうか。ここでの判断は収入の有無になるが、無償でやっていて仕事もきっちりやれる教師は存在する。
 育児書となる漫画は内容にもよるが、体験やそれ相当の知識が求められるものと推測される。そうであるなら教育の基盤を支える内容を分かりやすく伝える仕事を本務に差し障りのない範囲でやれるのならば素晴らしい事ではないだろうか。兼職を禁止するよりは規制緩和をして能力を社会へ還元するという視点が必要ではないだろうか。
 ハワイへ行ったときのことである。ホテルのロビーで染め物を販売している方がいた。仕事は高校の教師で、休み中は給与がないためにやっていたという。状況は異なるが、この場合、単純に法に抵触しているとしてよいのだろうか。
 総合的な学習の時間の目的は自己の生き方を考えるとされていて、総合的に横断的に学ぶ学びを教えるとなると、教師の経験や幅広い視点が求められる。それを教師は何処で身に付ければよいのだろうか。それをしていないから、総合的な学習の時間が未だに道半ばになっているのではないだろうか。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)

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