二酸化炭素削減目指しプログラミングで燃費良い経路考える
8面記事JAL開発の教材
東京・港区立芝浦小5年「総合」
JALグループでITの中核を担うJALインフォテック社は小学校向け次世代教育プログラム「JIT STEAM EDU」を開発し、そのプログラムを活用した授業(総合的な学習の時間)が6日、東京都港区立芝浦小学校(三浦和志校長、児童1279人)で行われた。対象は5年生。1人1台端末を使い、より少ない燃料で目的地に到着する飛行機のルートを考えるプログラミング教育に取り組むクラスもあった。社会とのつながりを感じ、論理的思考力を楽しく身に付けられる点が大きな特色になっている。
社会とのつながり実感
「CO2削減に向け、どんな工夫をしていると思いますか」。指導者役の同社事業企画本部に勤める大上美菜さんが、体育館に集まった5年生らに問い掛ける。動画を使い、飛行機の安全運行に多くの人が関わっていることなどに触れた後、気候変動の対応としてCO2削減の取り組みについて詳しく説明した。
最も効果的な対策の一つが燃費の良い機材への変更。これまでの機材と比較すると、25%程度のCO2排出量削減になるという。しかし、「費用が高く自動車の約1万台分に相当するため、できることを考えて工夫している」と語った大上さん。具体的に取り上げたのは、燃費を良くするための「飛行ルートの計算」など。その際、同社が開発したシステムを活用し、コンピュータの提案の中から最終的にパイロットが選んでいるなどの説明があった。
このプログラムでは、まずJALグループのCO2排出量削減の取り組みを軸に学習する。その後、同社が開発した教材でプログラミング教育を通して知識理解を深めていく。その内容は、Scratchを活用し、できる限り少ない燃料で目的地にたどり着く飛行ルートを考えるというもの。「後ろには進めない」という条件の下で、台風や雷などの障害ポイントを避けながらプログラムを考えていく。
プログラミング教育に取り組んだ学級の子どもからは「一日に千便も飛行機が飛んでると聞いたけど、そのプログラム作りをやってくれているシステムって本当にすごい」などの声があった。
同社を含むJALグループは企業活動を通じた社会課題の解決やSDGsの達成に向けた取り組みを推進している。
その取り組みの一つが、次世代教育プログラム「JIT STEAM EDU」。「子どもたちが未来を強く生き抜く力を身に付けてほしい」という思いがこもったものだ。2月に横浜市内の小学校で実証授業を行い、7月からは本格的に学校現場への提供がスタート。同社の支援・協力の下で実施したのは同校が初めてになる。
今後、希望する学校への支援・サポートだけでなく、オンラインでプログラムを提供することも検討しているという。パイロットや客室乗務員など、航空業界の仕事には憧れを持つ子どもたちが多く興味・関心は高い。環境教育やキャリア教育など、学校の実態に合わせて同プログラムをうまく活用することもできそうだ。