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「男らしく女らしく」から「自分らしく」へ

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カンコー学生服

 現在、学校現場では性の多様性に配慮した取り組みが求められており、制服の在り方にも変化の兆しが見えてきた。こうした中、「カンコー学生服」を全国展開する菅公学生服(株)では、多様な子どもに寄り添う「インクルーシブ・ユニフォーム」という考えの下、制服作りだけにとどまらないモノ・コト両面で学校への提案を行っている。

多様なセクシュアリティーを認め合う環境を

インクルーシブ・ユニフォームを目指す
 同社では、研究機関であるカンコー学生工学研究所を通じて、時代性、子どもたちの成長、嗜好などを調査し、制服作りに生かしている。その中で、同研究所の松田紗季氏が「インクルーシブ・ユニフォーム」を目指す大きな起点となったと語るのが、2015年に文科省が性同一性障害の生徒らへの配慮や相談体制を充実するよう全国の学校に通知したことだ。「LGBTQ当事者の方の声を多く聞くようになり、特に自身の身体の性に違和感を覚える人が、制服に対して深い悩みを抱えていることを知りました」
 性別違和を持つ当事者へのアンケート調査結果によれば、約8割が中学入学前に性別に違和を感じており、そこから身体の成長や制服の着用などの時期を迎えることになる。だが、自認の性の制服を着たいと思っても、周囲の目を気にして、言い出せなかったという声が多かった。
 「性の多様性に配慮するには、自認する性の制服を誰もが自然に着用できるジェンダーフリーが望ましい形だと考えていますが、現状では着用しづらい実情があると思います。今はジェンダーフリーへの過渡期として、性差の少ない制服のご提案と、多様な性を認め合える環境づくりの両面で取り組んでいくことにしました」

性差の少ない制服を提案
 こうした中、モデルチェンジを検討するきっかけについて聞いたアンケートでは、「昨年初めて性の多様性への配慮が1位になるなど学校の関心は年々高まっています」と変化を口にする。そこで、現在の生徒に向けては当事者の声を聞きながら「男女兼用」と「組み合わせの自由化」による性差の少ない制服を提案している。ブレザーは男女別ではなく兼用のサイズ設計のものや、ボタンの前合わせを選択できるタイプ、ボトムはスカートとスラックスで共通の柄のもの。また、女子スラックスは導入が増えており、既に1400校以上で採用。女性身体の人が履いても違和感がない設計かつ、身体のシルエットが強調されにくい工夫を施している。
 さらに、スカート、スラックス、ネクタイ、リボンなどの組み合わせを自由に選べるようにすることで、「自分らしさ」を表現できるようにした。「性の多様性に端を発した制服選択制が、結果的にはLGBTQ当事者だけでなく皆にとってポジティブなこととして、より広がりを見せている」と分析した。

講演会やアンケート調査で多様な性の在り方を伝える
 生徒・先生・保護者を対象に、多様な性の在り方を知る機会として当事者による講演会活動を実施している。その背景には、制服デザインを変更すれば全て解決ではなく、多様性を認め合える環境づくりに貢献したいとの思いがある。「ご自身もトランスジェンダーで、現在は女性として活躍されている西原さつきさんに講演を行っていただいています。生徒たちには、性の在り方は多様であるという気付きを通して、自分らしく生きることについて考えてもらえれば。年々依頼が増えており、今年はオンラインを含めて30校に達する見込みです」
 また、今の子どもたちの性の多様性に関する知識や意識についてのデータがほとんどないことから、中高生約3千人を対象にアンケート調査を実施。結果は実施した学校はもちろん、希望する教委や学校にも提供が可能だ。学会等でも発表し、より広く知ってもらうことに力を入れている。その上で、「当社としてはこれからも、性の在り方をはじめとする、全ての子どもたちの多様性を包み込めるインクルーシブ・ユニフォームをより突き詰めていきたいと考えています」と抱負を語った。
 問い合わせ=菅公学生服(株)
 https://kanko-gakuseifuku.co.jp

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