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人間教育の教授学 一人ひとりの学びと育ちを支える

19面記事

書評

シリーズ・人間教育の探究(4)
鎌田 首治朗・角屋 重樹 編著
PDCAサイクルで人格的成長引き出す

 人間教育の探究シリーズ第4巻は、日本の教育が求める教授学の在り方を追究している。
 「人間教育の教授学」は何かといえば、

 (1) 主体的な力の育成
 (2) 自己をわかる力の育成
 (3) 自己成長を追究する力の育成
 (4) 価値の深まりを追究する豊かな内面性の育成

 ―の四つの教育目標の実現を目指し、絶えず指導を工夫、PDCAサイクルを通して学習者の実態に迫り、その人間的、人格的な成長を本気で引き出そうとするものであると捉えることができる。

 第I部「人間教育の教授学の基本」は、目標づくりと授業設計、個性化のプロセス、目標分析と目標構造図、子どもにとっての授業の意味、主体的な学びを保障する教材、授業改革と教授学などを論考。第II部「人間教育を具現する」では、学習意欲、科学的な思考力・判断力・表現力、円滑な対人関係の基盤となるソーシャルスキル、ものづくり・生きるためのスキルを育てる授業、言葉の教育、自らの身体を考える授業、インクルーシブな保育や教育などについて論究している。
 “教育爆発時代”と呼ばれた1970年代に学校・教師・研究者、教育団体・組織等は、寝食を忘れて授業改革に没頭した。第I部第6章では、その中で生まれた主体的学習、「学び方」を育てる教育、バズ学習、範例的学習、発見学習、仮説実験授業、極地方式、完全習得学習の八つの学習方法・方式を紹介しているが、先達の志と熱を継承したいものである。
(3300円 ミネルヴァ書房)
(矩)

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