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一刀両断 実践者の視点から【第48回】

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横綱の相撲

 横綱戦が手段を選ばない喧嘩のようになってきている。武道の道が崩れ、醜さが後味を悪くしている。選手が酷い試合をしたら観客が大ブーイングを出すような事態が相撲にも起きるように思える。あの千秋楽を観ていた観客は、横綱の取組に疑いの心を持ちつつ拍手を送り、帰路では釈然としないまま「あれはないよな」と、口々にしていたようだ。
 国技であり、最高位の横綱相撲とは言えない醜態が、毎回のように印象に残るやりようには「高慢」が見て取れる。心技体の心が未熟だから技が醜いものになるのは当然である。
 心はどこで鍛えるのだろうか。非認知能力のエリアになるわけだが、この軽視が学校教育にも見られる。すなわち、優秀ならよいという成果主義である。
 大相撲の所管省庁は文科省である。教育的とは言えない危険な取組を放置している。与党には、この度知事選に出る方向となった元レスラー大臣などがいるのだから、国としての品格に関わる一大事と受け止めて動きを起こして欲しいものだ。
 人格的に横綱には不適格である事は明白である。擁護する評論家も居るが、その人物の価値観が分かり、隠れていた人間性が露になって分かりやすくなったようにも思える。
 いずれにしても、こうした醜い大相撲は、あってはならない素材として扱うには有効であり、子ども達に、偉くなっても、このようになってはいけないという道徳や倫理の教材にはできそうだ。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)

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