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学習評価

12面記事

書評

田村 学 著
授業での子どもの姿と結び付け解説

 学習指導要領が改訂され、教科書も変わり、資質・能力の育成を目指した授業改善が進む。当然、学習評価も変わる。この学習評価を確かに実施することで、学習指導要領の趣旨の実現に近づく。
 本書では、各校でどのように学習評価が行われるべきかを理論的に解説。具体の資料も豊富に掲載され、読み応え十分な内容だ。特に児童・生徒の授業の中での具体の姿と結び付け解説されているので大変参考になる。子どもの発言や記述した内容などは貴重な資料だ。知識の構造化に向けた子どもの変容が見て取れる。
 学習評価には、

 (1) 指導と評価の一体化
 (2) 説明責任の遂行
 (3) 自己評価能力の育成
 (4) カリキュラムの評価

 ―の四つの機能がある。学習評価は責務の重さを自覚する取り組みだ。しかし、授業改善を図ることは創造的でわくわくする魅力的な教育の仕事であり、子どもの成長や変容を社会に説明することは、その成長を共に実感できる良さがあるという著者の言葉に敬服。
 学習評価は、教育課程、子ども自身、さらに地域や保護者にとっても機能すべき重要な行為として存在するという。確かに、今回の改訂で学習評価はカリキュラム・マネジメントに位置付ける必要性が言及された。
 同社から発行されている著者の「深い学び」を併せ読むと、本書の内容がより深く理解できることも加筆しておきたい。
(2200円 東洋館出版社)
(藤本 鈴香・京都市総合教育センター指導室研修主事)

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