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一刀両断 実践者の視点から【第51回】

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過去の失敗と辞任

 私もはるか昔、スピード違反をして免停になったりといった事は経験してきている。ある先輩は教育委員を数年前に退任されたが、実は飲酒運転で捕まったことがあったけど「委員選考の際、ラッキーなのか?わからなかった」と、漏らしてくれた。
 オリンピック関連で過去の失敗を取り上げて辞任するニュースが連日報道されている。反省するようなことは誰でも何度かはしてきているはずである。「失敗こそ最大の教科書」と恩師は教えてくれた。
 私が経営する店では、精神障害の親子や飲酒運転で免職になった元教師を意図的に雇用している。バランスのよい賄い食を提供し、給与も皆と同等に出している。
 しかし、うまくいかないことも多かった。集中力が散漫なのか洗い物は次々に割るし、お客様へのお水をお出しするのも、手が震えてこぼれてしまうのである。できるようになるまでに数ヵ月も掛かった。失敗を引きずらないように励まして再生させる忍耐は、やったものでしかわからないはずである。
 今、人を責めている面々は、人生全てが潔白だったのだろうか。
 何か悪いことをして、後悔しても反省しても認めないという風潮に、程度にもよるが、再起を認めないとなると、「隠し通す悪意」や「揚げ足を取る」流れが加速するのではないかと危惧を感じてしまう。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)

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