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「統計」国際大会で神戸大附属中等教育学校チームが1位

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中学生以下の部

 主催者から与えられるテーマに関連して課題を設定し、統計データを分析して実験や調査を行った探究の結果を1枚のポスターにまとめる国際コンクールで、神戸大学附属中等教育学校の女子生徒で構成するチームが中学生以下の部門で最優秀賞を受賞した。

 受賞した3人は、日本のプロバスケットボールの1年間の試合の勝率を本拠地と敵地で比較し、本拠地の優位性の原因を分析した。
 このコンクールは、統計リテラシー力を競うもので、世界各国の政府機関や学会等が加盟する国際統計協会の統計リテラシー委員会と統計教育分科会が主催。今回は、3部門合わせて31カ国から約1万6600人が応募した。米国、英国などの6人の専門家で構成する審査委員会がポスター作品を審査する。
 今回は大学生部門でパキスタン、高校生部門でブルガリア、中学生以下の部門で日本のチームが優勝した。中学生以下の部門では、2位に韓国、3位にブルガリアの作品が選ばれている。
 日本チームは、本拠地がある試合会場では勝率が高くなる原因について、気温や湿度、観客数といった複数の要因と勝敗との相関関係を可視化する独自のグラフを考案し、そのグラフから想定した要因と勝敗との間に相関関係はなかったと結論付けた。
 受賞した3人は、今年に入ってから学校側の呼び掛けに応じて研究を進め、日本での代表権を獲得していた。
 この結果について立正大学の渡辺美智子教授(統計科学)は、「統計データを活用して自身の疑問や身の回りの出来事を協働して、論理的に探究し結果をまとめ伝える能力は、AIの実装化が進む今日のデジタル社会で各国が最重視する21世紀型スキルだ。最も若い部門で日本の子どもたちがその力を世界に示し評価されたことは、日本のデータサイエンス教育強化の素晴らしい成果と言える」と評価する。
 同中等教育学校は、文科省指定のスーパーサイエンスハイスクール(SSH)。学校設定科目として、4年生で「データサイエンスI」を設けているが、今回の賞を受賞した生徒は、この科目を履修する前に作品を手掛けている。

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