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一刀両断 実践者の視点から【第66回】

論説・コラム

道義心を教えねば

 人類が直面している困難な時に、労を厭わず献身する面々と、そんな事は関係ないと目立たぬように悠々自適にしている輩が居ることを周りを見渡して正しく認識しなければならない。
 分かりやすいのは医療機関である。積極的に対応している医師もあれば、静かに我関せずと決め込んでいる医師もいる。窮地にこそ本性は出やすいものであり、何のために医師になったのか問いたくなる。誰にでもできる処置ではないからである。
 いわゆる専門性は緊急時だからこそ、出番として自ら乗り出して、行動すべき時なのである。この道義心を人には徹底して教えねばならない。
 現在の教育課程では、道徳や生徒指導や総合や特別活動などに割り当てて学ばせているが、そのやり方がより効果を失わせてはいないだろうか。これまでの道徳教育推進教師から道徳専門教諭として、実践を加味した道徳免許を取得させるなどとして、実行力を強める必要があるのではないだろうか。
 やれる範囲でやるのではなく、必須にして人間力を幼児教育から小学校段階の範囲で徹底すべき時が来ているように思われてならない。見習うべき勇気ある行動の人々の傍らで、姑息に振る舞う輩を見ていて道義心の脆弱さを感じさせられるのは私だけだろうか。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)

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