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一刀両断 実践者の視点から【第69回】

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論説・コラム

パラリンピックと「励まし」

 残された身体の能力をフル稼働して限界へと挑むパラリンピック選手の勇姿は、諦めない、まだできる、やれると、その姿を通して、こんなに出来るのかという可能性を教えてくれる。
 身体機能の一部を失った理由やその後の葛藤、立ち直りを解説者が伝えてくれる。そこには必ず励ます人が存在していることが分かる。
 私は毎年、課題のある子どもと教師を目指す学生で富士山を登頂してきた。ある年は、半身不随の明るい少女が参加した。その子と数日を過ごしてきた不登校の子ども達が登る間際に、その子のぶれない意思に感化されて、「私も登ろうかな、登りたい」と、変容した。半身不随であっても手助けは極力しないこととなった。彼女が望んでいるからだった。
 下山の時は足の踏ん張りが効かないためにサポート隊が背負う事になる。それでも彼女の仲間を励ます声が止むことがない。
 それはパラリンピックの選手達の表情と重なる。オリンピックとパラリンピックに違いがあるとすれば、元に戻らない手足や視力に執着せずに、残された今ある力で勝負する。それも日常から注がれる視線や言葉に耐えて生き抜いてきた日々が重なり見えてくる。
 会場で試合を観戦した子どもたちがいる。この忍耐力と可能性を子ども達に伝えたいと、あえて観戦することとしたのではないだろうか。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)

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