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作業療法士「学童保育×作業療法」コンサルテーション入門

14面記事

書評

小林 隆司 監修
八重樫 貴之・佐藤 葉子・糸山 智栄 編著
専門性駆使、児童の生きやすさ実現

 学童保育の活動に作業療法士の知見が加わることで、困り感のある子どもに悩む学童保育支援員の不安を解消し、子どもたちの生きやすさを実現する岡山県発の試み。全国にそのネットワークを広げる過程で誕生した一冊である。学童保育での「遊び」と「生活」、作業療法士の領域である「作業」と「生活」の「親和性」から連携は実現したという。
 その威力は、Part1に示される「コンサルテーション20事例から学ぶ」を読むと追体験できる。学童支援員と作業療法士が協働で打開策を見いだすやりとりを「子どもの特性を作業療法士が分析、評価し、指導員がその特性を捉えた支援事例」「学童保育内の環境を整えて、子どもの生活や遊びが豊かになった事例」「子ども同士の対人関係や集団活動に焦点を当てた事例」「支援員同士の連携についてアプローチした事例」に分類し収めた。
 例えば、場面緘黙児には、身体が触れ合う遊びを多く取り入れることで感情が声に出るようにするなど、子どもの行動の背景を探り、遊びや環境、関わりの改善策を模索する。幼稚園や学校でのコンサルテーション事例もあり、その可能性を感じさせる。
 課題の一つが子ども領域の作業療法士の少なさ。Part2「子ども理解と作業療法コンサルテーションのすすめ方」は作業療法士に新領域への挑戦を求めるものだ。連携側の学童保育、学校・園が理解しておくこととしても読める。
(2420円 クリエイツかもがわ)
(矢)

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