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一刀両断 実践者の視点から【第83回】

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「激辛カレー事件」で処分取り消し

 《鳴りやまぬ抗議電話…「激辛カレー」教員いじめ処分、焦りが生んだ市教委の「拙速」》(読売新聞オンライン)という見出しの記事には呆れた。その後もこの地方の不祥事は次々と明るみにされて、教師の不祥事の定番舞台になっているようにさえ感じられてしまう。あのショッキングな映像は誇張したドラマのようにも感じられた事を思い出す。
 今回の記事が全てだとすると4名を分限休職処分で済ませたことがまず間違いである。一連の行為は犯罪であり、加害者は分限の対象ではないからだ。
 次に、弁明書を書かせる猶予を1日とした結論ありきの幼稚さである。顛末はこの段階で容易に想像できる。いつも指摘するように、外部有識者による調査委員会はあまり機能しない。このお粗末な内容を指摘されて、処分を取り消すのだから、加害者が勝ち、教委が負けた様相になったわけである。
 また、その行為に軽重があるとして処分を変えているが、そこも教育の視点からすると納得はいかない内容になっている。このレベルの案件ならば、小学校高学年でも審議や判断は出来るものである。大人がやるような判断ではないし、教委の体たらくもあり得ないレベルではないだろうか。あの震災を乗り越えた力強さや人々の連帯や知恵が活かされていない事に驚くと共に、今一度の再生を心から期待したい。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)

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