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生徒の主体的な学習姿勢を引き出すオンライン学習ツールの活用

9面記事

企画特集

辞書機能を備えたデジタルノートを導入

浦和実業学園中学校高等学校
カシオ計算機 ClassPad.net

 1人1台のコンピュータ端末の活用が本格化する中、ICT活用能力を高めながら、新学習指導要領の目指す資質・能力を伸ばす授業の変革が求められている。生徒用端末に導入する学習プラットフォームもデジタル化による新たな学びを創出する観点から選びたいもの。カシオ計算機がこのほど大幅リニューアルしたオンライン学習ツール「ClassPad.net」は、高校6教科に対応した総合学習プラットフォームだ。「生徒の机の上のデジタル化」をコンセプトに、クラウド型学習サービスに特化した機能を備える。全国に先駆けて導入した学校に、そのメリットと目指す教育のデジタル化について聞いた。

学ばされる意識を高校で脱却する
 さいたま市にある浦和実業学園中学校・高等学校(齋藤清幸校長、生徒数2376人)は、普通科、商業科、併設の中高一貫部を設置する、埼玉県内でも有数の大規模校だ。「実学に勤め徳を養う」の建学の精神に基づき、生徒の多様な学習と進路のニーズに応える教育活動を展開している。
 「在学中に“学ばせられる意識”からの脱却を図り、“自ら学ぶ姿勢”を育てることが、これからの高校に求められる大きな役割」と話すのは、国語科とAL(アクティブラーニング)・情報管理を担当する田口純平教諭だ。生徒の意識改革のカギを握るのがICT活用だと考えている。高性能な端末や通信網、AI(人工知能)の進化により、本人に学ぶ意欲があればICTの力を借りて自分で学び進められる環境を、生徒自らが作れる時代になったからだ。
 同校は今年度、中学1年、中高一貫部の4年、高校1年の新入生約700人を対象に、LTE接続型の端末を配付。自宅学習とも連携したシームレスな学習の構築を目指している。


田口純平教諭

活用促進は、最適なツールの選択から
 さまざまなオンラインツールを検討する中で、田口教諭が出会ったのが、カシオ計算機が開発した学習支援総合学習プラットフォーム「ClassPad.net」だ。電子辞書で圧倒的なシェアを誇る“EX-word”と、デジタルノート機能が融合している点に、他にはない魅力を感じたという。
 これまで生徒の机の上には、辞書や参考書、紙のノート、鉛筆や定規などが置かれ、生徒はそれらを自由に使ってノートを作ってきた。今後はそれらがデジタル化されたとき、各アイテムが1つのアプリに統合され、シームレスに使えるのはClassPad.netだと考えている。

辞書とデジタルノートをシームレスに利用
 ClassPad.netは、電子辞書“EX-word”から厳選した、高校6教科(英語、国語、数学、地理・歴史、理科、公民)対応、22の「電子辞書コンテンツ」を搭載する。自分だけのノートが作れる「デジタルノート機能」や、図形やグラフが描ける「数学ツール」などを備える。
 デジタルノートを作成している間に単語を調べたくなったら、画面サイドバーの“EX-word”ボタンを押し、使いたい辞書を呼び出す。検索窓に単語を入力し得られた結果は、自分のデジタルノートに貼り付けることができる。理解したことや、引用したいことを「ふせん形式」でアウトプットし、デジタルで保存できるのが特色だ。

協働的な学びをオンラインで体験
 田口教諭は自身の国語の授業で活用を始めている。高校生に源氏物語の冒頭「いづれの御時にか」に込められた意味をグループで考えるという課題を出した。授業中の密になるグループ活動を避けるため、他の学習ツールを使い、帰宅後にオンラインで話し合う方法を実践していた。今後はClassPad.netの辞書機能やデジタルノートを利用しながら、意見交換をして次の授業で発表する活動に変えていく。
 端末とClassPad.netがあれば、いつでもどこにいても勉強ができる。生徒たちは話し合いの結果や画像が残せて、いつでも呼び出して修正できるという、クラウドツールならではの「協働的な学び」を体験できる。
 田口教諭は「SNSで友達とつながる、コンテンツを視聴するといった学習に対する受け身の使い方以外に、デジタルツールが勉強に使えると生徒たちも気づき始める」と、意識の変化を感じている。
 保護者からの反響も大きい。生徒が自宅でClassPad.net上で、辞書を引きながら課題に取り組んでいるのを見て、「今はこんな勉強の方法があるのか!」と、強い関心を寄せているという。ClassPad.netの導入は、保護者にICT活用能力育成の重要性を理解してもらう意味でも、さらなるきっかけになると期待している。

よい授業の実現が業務効率につながる
 今後は、課題の配付や回収、生徒同士や生徒と教員のやりとりができる「授業支援ツール」、図形やグラフを描画して公式や定理を視覚的に確認できる「数学ツール」の活用も各教科で積極的に進めたい考えだ。
 ClassPad.netで、資料をデジタルで共有・提示しながら授業を進めれば、板書やプリント回収、質疑応答の時間も短くなり、それだけ生徒が考え、発表する時間が確保できる。「ICTを活用して、生徒中心の授業を作ることが教員の働き方改革にもつながる。教員も生徒もともに学び、一層の活用を進めていきたい」(田口教諭)。

オンライン時代にふさわしい学び方のスタンダードとは

課題解決能力の育成にテクノロジーを生かす
上嶋 宏 カシオ計算機教育BU関数戦略部ICTビジネス開発室長

アフターコロナの学習全体を支えるために
 電子辞書や関数電卓など子ども達が学校で使う製品を通じて私たちは次世代育成に貢献してきました。しかし、学び方が大きく変化する中、単にハードウエアをアプリ化するだけでは、よりよい教育への貢献にはつながらない_。そんな議論から、ClassPad.netの開発はスタートしました。
 そもそも辞書とは、学びのプロセスの中で調べる必要性が生じたときに使うものです。ならば、学習全体を支える「土俵」としてのプラットフォームも含めて提供するのがカシオの役割ではないかと考えました。デジタルノートとオンライン辞書機能を融合させるという発想です。

通信速度を気にせずサクサク使える
 開発にあたり重視したのは、通信環境がそれほど整備されていない場面でもストレスなく動くツールにすることでした。ソフト上でのすべての動作をサーバーとやりとりして表示させていると重たくなってしまいます。独自の技術で「サクサク感」のある使い心地を目指しました。
 現在のClassPad.netは、高校6教科に対応した22コンテンツを収録していますが、今後は小学生から大学生までを対象とした、より多くのコンテンツを使えるようにする予定です。
 欧米や先進各国では関数電卓を使った数学教育が主流で、試験に電卓を持ち込むのは自然なことです。海外では公式や定理を覚えて問題を解くことではなく、社会の課題をどう解決するかに主眼を置き、子どもたちはテクノロジーを駆使して数学を学ぶ意味を楽しく理解しています。
 ClassPad.netの「数学ツール」をはじめとする各機能は、課題解決型の学習を前提に開発されています。図やグラフや「ふせん」メモを自在に動かして広がりのある学びができます。ぜひ授業で活用して世界標準の教育の実現、そしてICTを活用した情報活用能力の育成に役立てていただければと思います。

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