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一刀両断 実践者の視点から【第87回】

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論説・コラム

総裁選と主権者教育

 自民党総裁選が終わった。この結果を「やっぱり」と見るか、「想定外」と見るかに分かれるだろう。世間の注目はそれなりにあったようだが、はたして若者は関心を持っただろうか。そして何を期待しただろうか。
 戦った相手も選挙が終わってしまえば、処遇がある程度保証されているようで、日本らしいところである。権力闘争となると、どちらにつくかの判断や打診などはいつの世も変わらない陣取り合戦となる。
 さて、今回の総裁選を主権者教育の教材にするとしたらどのように組み立て扱うだろうか。批判をするだけでなくどのような価値観で何のためにどのように論議をするのかを見極めねばならない。
 全方位的に判断が求められるトップの力量よりも、参謀や脇師の動きに私は注目した。三国志は私たち世代の必読書であったが、今の若者にはゲーム上の名前であり感情の機微までは読み込めない。感情までも推測して人物を見極め、政治構造を分析しながら、私ならば誰を選ぶのかと教師自身が主体的に受け止め、児童生徒に投げ掛けるような授業を仕掛けたものがいたであろうか。いずれにしても話題にするレベルでは教材とはならない。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)

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