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今こそ教育! 地域と協働する教員養成

14面記事

書評

岡本 正志 編著
地域団体での体験活動を必修科目に

 教職の大変さばかりが叫ばれ、教員採用試験の倍率が軒並み下がり、大きな社会問題の一つになりつつある。さらにコロナ禍にあって、ますます学校教育の混迷化が進んでいる。こういう流れの中で本書が出版されたことは意義深い。
 本書は教員養成の在り方について、一石を投じている。これは副題の「地域と協働する教員養成」の言葉に、端的に示されている。編著者が書いていた。
 <困難な時、苦しい時こそ、教育の役割は大きい>
 この役割を明確に果たすことができるようにするために、高野山大学では新しい教育学科を設置する。そして既存の教育学部がやっていない新しいカリキュラムを創る。
 <教育現場以外の地域団体での体験活動を必修科目とする大学は、教員養成大学として初めてのケースである>
 授業実践を中核にした教育実習だけでなく、カリキュラムの中に地域と協働する場を設定したのだ。
 これは教員養成系の大学が今後、生き残っていくために大きな示唆を与えるに違いない。
 はるか遠くの弘法大師空海の考え方が、学校現場に下りてくる。この理想にあふれた教員養成の成功を祈らずにはいられない。
(2750円 ミネルヴァ書房)
(庭野 三省・新潟県十日町市教育委員会教育委員)

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