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一刀両断 実践者の視点から【第89回】

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教員残業代訴訟

 《公立小教員の残業代訴訟、請求棄却 「明日からの希望見えない」原告の男性、控訴の方針》(弁護士ドットコムニュース)といった見出しの報道がされている。制度が現実と馴染まないのは以前からの事である。サービス残業が常習となっているので疑問さえ持たないのが現状ではないだろうか。
 以前、政令市の事務官とこんな会話をした。
 「私は教員の時より4万円も下がってね。退職願いを書かされて栄転と言われ、残業手当も200時間分申請しても数割にされているんだよ」と話すと、彼は、「政令市基本給より残業手当の方が大きくて満額もらえるので」と、桁違いの話をしてくれた。
 同じ年齢と経験で仕事をしても、手取りは倍ほども違うのである。こうした理不尽さがその後、どこまで是正されたかを確認はしていないが、労働の対価として公務員の給与一覧をあからさまにすると、その異常さには驚愕するだろう。
 その中でも教師の残業については代役が利かない職務が多くあるのだから、しっかりと措置するか、割りきって他へと移管するかになるだろう。
 ただし、いじめや虐待などの対応でさかれる時間はその心労からして残業の域を越えている。また、この責任を問われる校長の手当がその後の退職金にも反映されないのだから、成り手は激減していくのは当然ではないだろうか。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)

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