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一刀両断 実践者の視点から【第95回】

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小学生への監禁わいせつ

 《教室の鍵閉め教え子にわいせつか 板橋区立小学校教諭の男逮捕》(TBS系(JNN))という見出しの記事が出された。この類の記事を見ると思い出す事がある。同じような被害を受けたことを30歳近くなってやっと口にした教員がいた。
 加害者は現職の教員だった。急いで市教委へ連絡した。その後が酷かった。最初の返事が「何で今頃」「既に時効」「証拠はないし」だったのである。
 裏には体育系の仲間が動いていた。陸上の指導者として名をはせていたらしく、その威光を使って、体育館に児童を一人一人呼び出し個室の鍵を閉めて体に触れてきて、中には何をされているかわからないまま、より深刻な被害にあった児童もいた。その時の出来事が脳裏からはなれずに、結婚も諦め海外へ行き看護師をしているという。
 こうした証言があるのに、行政は形式的な範囲の事を調べるのみで、被害者本人の立場で動こうとはしなかった。これが現実なのである。
 私が調べただけでもその学校では4名の児童が被害を受けていた。メディアが本人に確かめたところ「確かに呼んだが、マッサージをしただけ」という回答だったそうである。このようにやっと口にできたことも「何で今頃」と、言える体質のある教委には自浄能力は期待できない。
 皆さんの所属する教委は大丈夫ですか。そしてあなたの回りにそうした欲望の輩はいないか見張ってほしい。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)

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