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一刀両断 実践者の視点から【第99回】

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論説・コラム

部活動に議論を

 私のコラムに貴重な意見を頂いた。学校は楽しいところという視点についてである。これを額面どおりに取ってしまう危険があるということである。
 この楽しいところとは安易な楽しさを指すものではない。是々非々やメリハリの中で生み出される楽しさを指している。このベースには鍛練するという要素を豊富に含ませておく必要がある。心地よい緊張感が師弟の基本であり、フレンドリーのみでは高め合うことは出来ないからである。
 では、何を鍛えるのか。それは馴れ合いや曖昧さを見逃さないことであり、たっぷりのユーモアの中にも凛とした厳しい学びが必要なのである。残念ながらこうした鍛練を教員養成段階で体得できる環境があるとは思えないのが現実である。だからこそ、礼節や学問や真理について襟をただして素直に学ぶ、学ばせる必要があるのである。
 その意味で、部活動については議論の余地がある。単なる否定論は、極めて政治的で学校現場のニーズを理解しているとは思えない。日本に根差した部活動は、思春期の青年を育成するすなわち、鍛練する事のできる場であるのだから、他国に合わせる必要はなく工夫をすればよい。政治家が票を集めようと悪者扱いするやり方は横暴とも言える。
 振り返ると中学も高校も授業の記憶は薄く、部活動や諸行事の事しか記憶にない。文科省も一部の政治家に振り回されずに学校現場をよく見てやらねば、現場との解離がますます広がることになる。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)

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