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人新世を生きる君たちへ 次の日本への教育改革

12面記事

書評

次の日本への教育会議 編
奔放な改革案、現実的実行手法も提示

 人類が誕生した地質学上の「新生代」は、その活動により、地球温暖化や気候変動、生物多様性の喪失といった結果を招いた。このツケを受忍する次の時代を「人新世」(アントロポセン)と呼ぶ。こうした時代を生きる人間をどう創り出すか、という問題意識から、元政治家や元官僚、研究者などが議論を続け、教育改革のアイデアを中間報告としてまとめた。
 「教育予算倍増。予算規模は現行水準の2倍」「幼児教育から小中教育そして高校教育までを全て義務教育とし、全面無償化」「小中学校教育は、基本的に20人以下学級」「大学教育への無試験アクセス制の導入」「大学院を事実上無償化し、博士課程では就学者に対し基礎研究費を給付」、教育の総合化と教員育成のための大学の一つとして「教育高等学院(仮称・公立)創立」など20の緊急提案を提示し、さらに義務教育編、高等教育編、社会教育編に分類して「教育改革の具体的諸方策(アジェンダ)」を掲げた。
 改革の工程・手順では「教育改革をシングルイシューとする小政党」結成までも視野に入れ、提言内容に奔放さがある一方、現実的な手法も入り交じる。
 タブレット1人1台や学級規模の縮小などの大きな変化は政治と不可分。同会議の改革案も、「政治的決断」抜きには実現しないものが多い。「次の日本」に向けた選択肢を突き付けた。
(1320円 あけび書房)
(矢)

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