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福祉・保健支援を一元化 こども家庭庁、基本方針決定

3面記事

行財政

 政府は昨年12月21日、子ども関連施策の司令塔となる「こども家庭庁」の組織体制などを示した基本方針を閣議決定した。福祉や保健など子どもと家庭が抱える課題に対する支援を一元的に担い、組織による縦割りの解消を狙う。令和5年度のできる限り早い時期に設置することを目指し、今年の通常国会に関連法案を提出する。
 基本方針は、こども家庭庁を首相直属の機関として内閣府の外局に位置付けると明記。組織は内閣府特命担当大臣とこども家庭庁長官を置き、その下に「成育」「支援」「企画立案・総合調整」の3部門を設けることとした。
 内閣府の子ども・子育て本部と厚労省の子ども家庭局の担当業務を移管するが、現在の定員を大幅に上回る体制を目指す。自治体や民間から積極的に職員を登用するという。
 他にも子どもの貧困対策や少子化対策、児童虐待や性被害の防止に関わる権限を一本化する。
 幼稚園や義務教育以降の学校は引き続き文科省に権限を置くものの、幼稚園と保育所の教育・保育内容の基準である幼稚園教育要領と保育指針は、文科省とこども家庭庁が互いに協議し、共同で策定することとした。これにより幼稚園、保育所、認定こども園の3施設の教育・保育の内容の整合性を制度的に担保できるとしている。
 また、認定こども園に対する事務を整理するため、こども家庭庁と文科省が連名で通知を出すことや、施設整備をこども家庭庁に一本化することも明記した。
 学校でのいじめ問題にも積極的に関与する。文科省が、いじめ防止や不登校対策の指針を変更する際には事前に協議することなどを盛り込んだ。
 こども家庭庁の担当閣僚には他省庁に政策の是正を勧告し、報告を求める権限を持たせる。創設後には、子ども政策の総合的な大綱を設けるという。
 子ども政策を進めるために必要で安定的な財源の確保については「企業を含め社会・経済の参加者全員が連帯し、公平な立場で、広く負担していく新たな枠組みを検討する」と記述するにとどめた。
 内閣官房では、組織の名称について「こども庁」とする方向で検討してきたが、家庭への支援も含めた施策を強調すべきだとする自民党などの声を受け、最終的に「こども家庭庁」に決めた。

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